「オミクロン株はそれほど危険ではない」で
日本経済が「どんより化」してしまう

 では今、現在進行形で起きているように「オミクロン株はそれほど危険ではない」と考える人たちが増加すると何が起きるのでしょうか?

 これから起きることは、2022年の日本経済の「どんより化」です。

 今が第6波なのか第7波なのか、見解が分かれています。流行がオミクロン株からオミクロン株の派生型「XE」に移るかどうかの予測もなされています。

 それが関心事の人もいらっしゃるとは思いますが、経済全体でみれば「コロナがいつまでたっても収束しないせいで経済がなんとなくどんよりする状況が続く」という点の影響が一番大きいと考えるべきです。

 この経済のどんより化を象徴する動きは、二つの場面で見られることになります。一つはサプライチェーンのどんより化です。人出は増えてそれなりに毎日は活気がある雰囲気にはなっているのですが、企業の側から見ればまだまだコロナは危ない。だから、製品の供給がどんよりします。

 さらに危険なのは、上海のロックダウンに象徴される海外のサプライチェーンの遅延です。日本は全国一斉のまん延防止解除から“経済優先”にかじを切った感があります。しかし、中国は逆で、ゼロコロナを掲げてまん延を抑えようとしている。だから、中国からの積み荷が日本に届かない状況が目立ち始めています。

 その影響が顕著なのは、アパレル業界です。せっかく人が外出するようになったのに夏物衣料が中国から到着しないといった具合で、春の一番の商戦期を不安なまま迎える状況になっています。

 もう一つのどんより局面は、客単価の減少です。街に繰り出した人出はそれなりに小売店や飲食店に向かうのですが、あいにくの円安、原油高、小麦など食料品の値上げなどで財布のひもが固くなっています。結果として、人出の割には消費がどんより化してしまいます。