企業組織は、究極的には人の集まりではなく、人間関係や関係性の集合体です。あなたがその会社に入ったと仮定して、周りの人とどのような関係で接するのか、あなたの周りの関係性を調べていくことで、自ずと仕事の質や内容がわかってきます。あなたの周りの人の関係性を矢印で書いていったとき、たくさんの矢印ができますが、「誰から何を求められるか」「誰に何を求めるか」という矢印の向きを意識することが、仕事内容をより深く知ることにつながります。
人間はどうしても人そのものに焦点を絞りがちですが、あなたがその企業に入ったときにどのような矢印に囲まれることになるのかを考え、そこに次にお話しする「QCTW」を当てはめて考えれば、就活で聞くべき内容、知るべき内容は非常に立体的なものになってくるでしょう。その中で、その企業の仕事が本当に自分に合うのか、社風は本当に合っているのかといったことが、ごく自然に見えてきます。
就活で企業関係者に聞くべき
魔法の質問項目「QCTW」とは
ではここで、就活で企業関係者に聞くべき「魔法の質問項目」をお教えしましょう。その部署における「QCTW」です。「QCTW」とは何でしょうか。
QCT (Quality, Cost, Time)、あるいはQCD(Quality, Cost, Delivery)は、特に製造業の生産管理において重視する項目を指し、「品質」「コスト」「納期」を表します。これに私は独自に「Who/ Whom」(誰が、誰と)を付け加えて、「QCTW=品質、コスト、納期、誰」をはっきりさせれば、その会社の社風がわかる、毎日の仕事がわかる、ひいては自分に合う会社なのかどうかがわかってミスマッチが防げる、と説明してきました。
まずQuality(仕事の質)です。「仕事の質」を上げるために、社員は毎日仕事で何をしているでしょうか。品質といっても、べつに製造業のように具体的なマテリアルがある場合に限ったことではありません。サービス業なら、お客さま対応の質やお客様に提供するサービスの内容をよくするといったことになります。ウェブサイトの構築なら、よりストレスのない画面遷移などを指すでしょう。これらは、企業が売っているものやサービスの質をよくすることに繋がります。
たとえばメーカーであっても、部署によっては直接販売する製品を扱わないこともあります。その場合は、その部署が関わっていて、外部、取引先、社内の別の部署に流通させるものやサービスの質を上げるという意味になります。見積もりをつくる仕事なら見積もりの精度を上げる、わかりやすい項目に分けるなど、品質といっても仕事によって千差万別です。その千差万別について聞くのです。
次にCost(予算)。その仕事に関する予算(目標やノルマも含め)に関する質問です。人件費や仕事量なども含め、どのように効率化を行っているか。扱う商品などがあれば、コストを下げるためにどんなことをしているのか。営業ならば、目標を達成するためにどんなことをしているのかです。