クビ寸前の講師が起死回生、「売上80万→8000万円」実現のセールストーク術写真はイメージです Photo:PIXTA

「売り込みがなんか苦手で……」。営業や商談の場で、売り込みを躊躇(ちゅうちょ)してしまうことはないだろうか。元カリスマ予備校講師の犬塚壮志氏は、元々売り込みが苦手だったが、あるコツを会得したことにより、駿台予備校で講義(化学)を日本一売り上げる実績を達成したという。犬塚氏が教える、売り込まずに売れるセールストークの“型”と、その実践的な使い方とは。(教育コンテンツプロデューサー/株式会社士教育代表取締役 犬塚壮志)

売り上げわずか80万円、予備校講師をクビ寸前に

「『この人、売り込んで来てる』って、思われるのはイヤだなぁ……」
「『売り込みする人だ』ってうわさされるのだけは避けたいなぁ……」

 これは、私が予備校講師として教壇に立ち始めた頃に、よく思っていたことです。ご存じの方もいるかもしれませんが、ほとんどの塾や予備校では、夏期講習会や冬期講習会などの季節講習会を受講するためには、生徒側から通年の講義料とは別に、季節講習会用の料金を支払ってもらっています。別の言い方をすると、季節講習会は塾や予備校にとって大切な収益源なのです。

 そのため、予備校講師たちは、「季節講習会でその講師が担当する講座を何人の生徒が受講してくれたか」が大きな評価ポイントとなります。高い評価を得て仕事を続けるためには、自分で自分の講義を生徒に向けて売らなければなりませんでした。

 しかしパンフレットには、魅力的にラインナップされた数多の講座が並んでいます。その中で、あえて自分の講座を選び、受講してもらうよう生徒に呼びかけるのは、当時の自分にとっては講義をすること以上に高いハードルを感じることでした。

 冒頭に書いたように、生徒に「売り込みをする講師」と思われたくなかったのです。そういった思いもあってセールスをためらっていた結果、初年度の私の講座の売り上げはわずか80万円程度。そのためにクビ寸前にまでなってしまったのです。

 さすがにこのままではマズいと思い、生徒があふれ返るほどの超人気講義を担当していたある売れっ子講師に、セールストークの秘訣(ひけつ)を教えてもらいにいきました。断られることを覚悟で相談に行ったのに、その講師は快くセールストークの秘訣を教えてくれました。その結果、私の講座の売り上げは、最終的に100倍近くになりました。