この9本のうち、いずれかの投資信託を扱っている
金融機関に口座を開くことが大事

 ただ、つみたてNISAの口座を開設する金融機関によって、扱っている投資信託が異なりますから、ご自身が口座を開いた金融機関のつみたてNISAで買えるものと買えないものが、どうしても出てきてしまいます。

 ですからこの9本のうち、いずれかの投資信託を扱っている金融機関に口座を開くことが大事です。

 このように9本を挙げると、「このうちどれか1本を買えばいいのですか? それともすべてに少額資金で分散したほうがいいのですか?」という質問を受けることがあります。すでに説明したように、いずれか1本を買えば十分です。

「投資する時はリスク管理上、複数に分散させるのが大事です」などと言われるので、9本の投資信託に少額資金で分散したほうがいいという発想が生まれるのだと思います。

 しかし、ここに挙げた投資信託はすでに資産クラスの分散が図られています。それをさらに分散して複数の投資信託を保有すると、自分の資産が今、どの資産クラスにどの程度配分されているのかが分かりにくくなりますし、そこまで分散して得られるプラスの効果は、ほとんどありません。

 ここで挙げた9本のファンドすべてに分散させるのではなく、購入したいファンドを1本決めて、取り扱っている金融機関でつみたてNISA口座を開設し、それを購入して長期保有してください。

中野晴啓(なかの・はるひろ)
セゾン投信代表取締役会長CEO
一般社団法人投資信託協会副会長、公益財団法人セゾン文化財団理事
1987年明治大学商学部卒業、クレディセゾン入社。2006年セゾン投信を設立。2020年6月より現職。
つみたてで、コツコツと資産をふやす長期投資を提言、国際分散型投資信託2本を15年以上運用し、
個人の長期資産形成を支えている。客観的な定量評価を行う複数のファンドアワードで連続受賞。
口座開設数16万人、預かり資産4700億円を突破。
主な著書に『最新版 投資信託はこの9本から選びなさい』『投資信託はこうして買いなさい』他多数。