2023年入試は緩和傾向か?
この4月からの新学期は、久しぶりに新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用されない日々が続いている。22年中学入試では、学力不足による志望校レベルの引き下げなども見られたが、23年の入試はどうなるのだろうか。
4月から首都圏1都3県の公立小に通う6年生の人口は22年比99.84%とごく微減傾向にある。神奈川・埼玉・千葉はすでに減少傾向にあるが、東京はかろうじてごく微増だった。この人口に受験率を掛けたものが、実際の中学受験者数となる。22年の受験率は史上最多級の14.7%に達している。
22年4月に実施された四模試の、21年同月比受験者数合計は▲1.7%と減少した。とはいえ、模試ごとに見てみると、SAPIXは+4.6%、四谷大塚は+1.8%、日能研は▲2.7%、首都圏模試は▲16.3%と大きく開いている。これを基に年明けの情勢を占うのは難しいが、中堅校以上の志望者が増加傾向にあるのかもしれない。ちなみに、21年は20年より1割増加していた。この点については、以前の連載記事をご覧いただきたい。
四模試の個別校入試別志望者データが手元にそろっていないため、今回は四谷大塚の4月10日に行われた合不合判定テスト(第1回)での志望動向を見ていきたい。四谷大塚は全体では+1.8%だが、そのほとんどは男子受験生の増加分で、前年に大きく増やした女子はごくわずかだが減っている。これが実際の入試志願者数の増減に直結するわけではないものの、どの入試が現時点で人気を集めているかを感じ取ることはできる。今回は、まず女子校と共学校の女子受験生の動向について見ていきたい。次回は男子受験生についても同様に見ていこう。
前哨戦ともいえる、1月10日からの埼玉の学校はどうか。共学校の女子受験生から見ていこう。栄東は、初回となるA1を10日と11日に分けて実施しているが、共に1割増となっている。12日東大特待は微減だが、16日Bは2倍と大きく伸ばしそうである。栄東は23年入試も絶好調の滑り出しだ。22年も好調だった大宮開成は、14日2回が7割半増と増加傾向にある。開智は、10日先端1回で2割半、15日の先端2回が3割、それぞれ増えている。
志望者数はいずれもごく少ないものの、10日午前1回で星野学園は2割増、細田学園は8割増、西武学園文理は12日2回が5割半増、浦和実業学園は10日1回特待が2倍半、埼玉栄は10日1回難関大が2.2倍と、それぞれ伸ばしている。
女子校では、淑徳与野が受験生の多い13日1回でさらに1割強増、2月4日の2回でも2割弱増やしている。ごく少ないものの、大妻嵐山は10日午後1回が5割半増で、11日の2回と奨学生の入試でも志望対象として挙げる受験生が現れてきている。
1月20日から始まる千葉に女子校は2校しかない。和洋国府台女子の20日一般1回が3割強増と人気を集めている。
共学校では、20日の東海大学付属浦安(A)は2割増と好調で、例年人気の専修大学松戸(1回)も3割弱伸ばしている。21日は千葉日本大学第一(1期)が1割強、麗澤(1回AE)は4割それぞれ増やした。23日の芝浦工業大学柏(1回GS)は5割増と大きく伸びている。
千葉の御三家を見ると、20日の市川(1回)は微増、21日の東邦大学付属東邦(前期)は1割上乗せしている。22日の渋谷教育学園幕張(渋幕)は前年並みである。渋幕に隣接する昭和学院秀英は、市川受験生の併願先となる20日午後特別が2割強増と好調だ。