「お金のまなびば!」のライバルは「トヨタイムズ」

 僕はどうやったら日本国民の9割が証券口座を開いて、つみたてNISAで少額のコツコツ投資を始めて、健全で正しいお金の知識が広まるのかなと、ずっと思っているんです。おそらく藤野さんも僕と同じように頭を悩ませていると思うんですけど。いま、お考えが何かあったらぜひ教えてください。

藤野 一番いいのは給料天引きだよね。

 理想ですね。社会保険みたいに。

藤野 社会保険的な制度の一つとして、そして企業が国に代わって代行徴取するみたいな感じで、運用はプロがやることになっても、根本的には運用されているんだけれども、気がつかないみたいなね。

 そうですね。企業型の確定拠出年金(企業型DC)がそれに近い。

藤野 企業型の確定拠出年金っていうのは、まさにそれのイメージがあって。天引きで投資をして、積み立てで増やしていくっていうことがすごく大事なんだけど。NISAも同じようなことができたら、なおよい。選択制でね、選べることができるようにすると、なおいいと思うんです。

 日本人のすごいところ、同時に欠点でもあるんですけど、「みんなやってるから私もやらなきゃ!」っていうモチベーションがすごく強いんです。行列のできるラーメン屋は、私も並ばなきゃみたいな。「乗り遅れちゃうのは嫌だ」という思いが強い人種だなと思うので。天引きにすると、「みんなやってるから私もやる!」ってなると思うんですけど、現実的にどうすればそうなるんだろうな…と頭を抱えています。本を出す、ぐらいしかアイデアがない状況で…。

藤野 一つは、政治家とか官僚さんを、そのように意識づけするということが重要なんだけど。でも、あの人たちは結局、国民を見てるんで。国民にそうだと思わせなければいけない訳で。だから、つみたてNISAを推進しないような政治家には票を入れないんだみたいな雰囲気になれば…。それしかないわけでね。だから結果的にいうと、こういう本はすごく大事なんです。僕も1年半ぐらい前から「お金のまなびば!」っていうYouTubeチャンネルを始めたのも、結局、みんなこの話をすると、日本人の金融リテラシーが低いのはやれ文科省がとか、金融庁がとか、日銀がとか言うんですよ。でも、そんなことを言っても、彼ら動かないから。

 動かないですね。国民の票が入るなら政治家のインセンティブにもなりますが。

藤野 そうすると、もう自分たちでやるっていうことがすごく大事で。だから南さんが偉いのは、それを個人でやろうとしているということ。南さんみたいなことを書いたり読んだり、発信する人がめちゃめちゃ増えればいいし。僕らも、「ひふみ」を宣伝するっていうことが「お金のまなびば!」の主じゃない。長期投資の素晴らしさや、経済に興味を持つことが大事だっていうことを伝えたい。それを文科省にやってくださいとか言っているのはイケてない。もう自分たちで一からやるほうが、長期的にはいいだろうと思っているんだよね。それ、おもしろいと思う人が増えると、結果的にそれが社会を動かしていくことになるので。

 「お金のまなびば!」は、僕もほとんど観てるんですけど。セット・機材・照明・出演者のお金のかけ方がすごいなと、毎回びっくりしてます。

藤野 金額は言えないけど、相当な額出しているんですよ。30人ぐらいついてやってるから。これこそ投資ですよ。投資家っていうのは、自分たちが主体的に、自分たちでやると。自分たちでコンテンツをつくって、自分たちで出していくと。場合によっては、僕らが広告をとれるようにすると。あの中に広告が入ってもいい。

 メディアとしての広告収入ですね。その域に達するまでには莫大な投資が必要ですね。

藤野 僕らの会社っていうのは「カンブリア宮殿」で取り上げられて大きく伸びた。

 2017年ですね。テレ東BIZで何度も観ています。

藤野 さすが。2017年の「カンブリア宮殿」が一つのきっかけで伸びました。その後、自分たちの考えを伝えたから、大手の代理店さんとか、何社かに提案してもらってね。そしたらその中の、比較的小規模チームの人たちが言ったんですよ、「「カンブリア宮殿」に出ることよりも、「カンブリア宮殿」をつくりましょう」って。

 言うのは簡単ですけど、つくるのは難しいですよね。

藤野 難しい。でもね、そっちのほうが響いた。僕らどうせ69名のお客様で、1億5000万円からのスタートで。そういうところから1兆円超したファンドまでつくったんで、本当にゼロからつくって、途方もないものをつくってっていうほうが、僕ららしいと思ったんです。できあがっているコンテンツの中に載るっていうのは、レオスとか「ひふみ」らしくないと思って。

 なるほど。ひふみの哲学がYouTubeにも表れているのですね。

藤野 実際に広告収入も、徐々に入ってきています。いま18万人の登録者さんがいて。それで、僕らがベンチマークしているのは、最初から「トヨタイムズ」。たぶん資金量とかブランドでいうと、日本のナンバーワン企業じゃないかな。そのトヨタがやっているオウンドメディアの「トヨタイムズ」を超えるのが僕らの目標だった。彼らはいま22万登録者数。

 ほぼ迫ってますね。「お金のまなびば!」は開設したばかりなのにスピード感が凄まじい。

藤野 迫っているでしょう? やればできるんだよね。「お金のまなびば!」が100万人とか1000万人の登録者になり、「ひふみ」が1兆円とか10兆円になるぞと言ったら、昔は鼻で笑われた。でもいまはそんな人いないでしょう。「ひふみ」の実績もあるし、ひょっとしたら「トヨタイムズ」を抜くかもしれないっていうことになったら、できるかもしれないと思うわけじゃないですか。「お金のまなびば!」が、金融エンターテインメントコンテンツや教育の場になっていく。そうなってきたら、少しずつだけど確実に投資のイメージとか、投資に対する考え方が変わるんじゃないかなと思ってね。

 まさに家庭科で金融教育が始まる高校生とかにも観てほしい。私も学生時代に観たかった。

藤野 高校生に観てもらいたいし、中学生、小学生とか、幼稚園とか、本当におじいさんとかおばあさんとかも観て、老若男女すべての人に観てもらうコンテンツにしていこうというふうに思っています。

「新しいことは書いてないけど、大事なことが全部書いてある!」南 祐貴(みなみゆうき・セカニチ)
Koru-workers株式会社 代表取締役
1989年 東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社、約6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディングなどで資金を集めて高輪ゲートウェイ駅近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「#世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。生放送コミュニティ・オンライン学習サービスの「Schoo」では、国内最大級6200本の授業から「ベスト授業&ベスト先生」の2冠に輝く。本書が初の著書。各SNSで毎日情報発信。インスタグラムのフォロワーは2万人以上。『世界一面白くてお金になる経済講座』が初の著書。