鉄道ファンの撮影動画がSNSで公開され
「事故の異常さ」が明らかに

あそぼーいPhoto:Diamond

 コロナ禍で大ダメージを受けた鉄道事業者にとって、「希望の星」といえるのが観光列車だ。通勤を中心とする定期利用者は、コロナ禍前と比較して2~3割減少し、収束後も元には戻らないとみられている。一方、私用や観光が中心の定期外利用者は、時間はかかるものの以前と同程度に回復すると期待されている。

 割引の少ない定期外利用者、しかも、まとまった金を落としてくれる観光利用者の回復は、鉄道事業の収支改善に直結する。国内旅行需要は回復傾向にあり、2022年のゴールデンウイーク期間、JR各社の利用者数はコロナ禍前の7~8割まで回復した。

 ところがゴールデンウイーク初日の4月29日、旅行需要回復ムードに水を差すような事故が九州で発生した。JR九州・豊肥本線の竹中駅~中判田駅間で、熊本駅と大分駅・別府駅を結ぶ臨時観光特急「あそぼーい!」が線路上の倒木と衝突したのである。

「あそぼーい!」に用いられるキハ183系特急車両は、JR九州で唯一、車両の2階に運転台を設けた展望席付き車両(通称、パノラマカー)である。事故の一部始終が、展望席最前列に座る鉄道ファンが撮影していた動画に収められ、SNSで公開されたことで、「事故の異常さ」が明らかとなった。

 北海道・知床で遊覧船沈没事故があったばかりで、観光列車にも「危険」があるのか心配する人もいるかもしれない。もちろん、多数の不備が指摘されている小さな遊覧船運航会社と、大手鉄道事業者が置かれた環境は全く異なり、比較自体が適切ではない。また、筆者はいたずらに不安をあおるようなこともしたくない。

 次ページからは、事故の経緯とJR九州の見解を振り返るとともに、観光列車と一般の列車を比較したときに、「リスクになり得る要素」を2点だけ指摘しておこう。