コロナ禍が落ち着き始めたことで、市況も少しずつ回復しつつある。しかしビジネス界では、コロナショックから立ち直った企業と不調から抜け出せない企業とで明暗が分かれている。そこで、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はトヨタ自動車、ホンダなどの「自動車」業界5社について解説する。(ダイヤモンド編集部 濵口翔太郎)
トヨタ・ホンダが四半期増収
日産・スズキ・SUBARUは減収
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の自動車業界5社。対象期間は2022年1~3月期としている。
各社の増収率は、以下の通りだった。
・トヨタ自動車
増収率:5.5%(四半期の営業収益8兆1125億円)
・ホンダ
増収率:7.0%(四半期の売上収益3兆8757億円)
・日産自動車
増収率:マイナス10.8%(四半期の売上高2兆2706億円)
・スズキ
増収率:マイナス0.9%(四半期の売上高9941億円)
・SUBARU
増収率:マイナス2.4%(四半期の売上収益7370億円)
※日産自動車、スズキは収益認識に関する会計方針の変更を行っているが、各社の開示方法に準じて、前年同期の売上高と増収率には同変更を遡及適応していない。
自動車業界の5社では、四半期単位ではトヨタ自動車とホンダが前年同期から増収、残る3社は減収となった。
一方、22年3月期通期の業績では、SUBARUを除く4社が増収で着地した。輸出型産業の側面が強い自動車業界では、目下進行中の円安がプラスに働き、半導体不足などの影響をカバーしたとみられる。
その中でも、トヨタ自動車は営業収益・営業利益・最終利益において「過去最高」を連発した。好決算の背景には、これまで貫いてきた自動車生産の「流儀」を曲げて供給網を維持するという“苦肉の策”があった――。
一体どういうことか。次ページで、各社の増収率の推移とともに解説する。