借入金で購入した不動産の
相続税を巡る注目の最高裁判決
まん延防止等重点措置が解除され、コロナ禍がようやく収束に向かいつつある状況となった2022年4月中旬、最高裁で今後の相続税の課税基準に関する注目の判決があった。
結果的には、この判決によってこれまで相続税対策として半ば当然のように実施されてきた諸々の手段が(もちろんケース・バイ・ケースだが)通用しなくなる可能性が高くなったことに、不動産業界だけでなく、税理士法人や信託銀行、証券会社など金融業界も大きな衝撃を受けている。
まず、今回の判決の対象になった事案を簡単に説明する。
高齢の企業経営者が、8億円超(うち信託銀行からの借入額6.3億円を充当)および5.5億円(同4.25億円)の不動産を相次いで購入したという事実に対し、借入金によって高額の不動産を取得した場合は相続財産の圧縮により相続税の減免が可能かどうかを争ったケースである。
この資産家があえて借り入れを行って購入した資産が継承されるにあたり、国税当局は相続税評価が著しく不適当であるとして資産の再評価を実施し、別途相続税を算定した。