塩野義製薬の国産コロナ経口薬、まさかの「緊急時承認見送り」の深い事情Photo:123RF
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 新型コロナワクチンの調達をめぐり、日本の首脳が米ファイザーCEOに「土下座外交」を繰り広げたのは記憶に新しい。その後、国家の一大プロジェクトのワクチン大規模接種が進むにつれ、同社の知名度は飛躍的にアップ。業績面でも、日本の税金が大量に投入されたワクチンの「特需」にさぞ沸いているだろうと思いきや、その裏では非情にも「大規模リストラ計画」が進んでいる。

 大出血が免れない組織は、新型コロナ下で存在意義低下により一層拍車がかかる営業部隊。「処方医と会えない」この2年間で、「営業力とはなんぞや」との再考が進んだ結果、MRは急速に「座礁資産」化しつつある。

 MRが「半減」しても構わないという会社側の思惑も漏れ伝わり、社員からすると胸中穏やかではない。社長交代劇にまで発展した00年代半ばのリストラ騒動では労使で揉めに揉め、外部の野次馬から注目を集めたが、今回大きな引き金となっているMRの座礁資産化という課題は、他社も他人事ではない。

 外資系メーカー関係者は「成功すればほかも追随する」と予測。多くの製薬企業が、ファイザーの大量リストラの成否を自分事として注視する展開となっている。