アルファベットの株価についてはすでに先週から下落が始まっていたこともあり、決算発表の後は夜間取引で逆に、株価が5%ほど上昇しました。投資家心理として「思っていたよりもマイルドな結果だった」ことが安堵を与えた様子です。

 さらに、7月27日にメタ(旧フェイスブック)は、第2四半期の純利益が前年同期比で36%減少したと発表しました。これも市場予測を下回り、メタの株価は夜間取引で4%下落しました。

 SNSのアクティブユーザーはフェイスブック、インスタグラム、WhatsAppなど合計で増加しているものの、広告の平均価格が前年比で14%下がっているといいます。

米ハイテク株成長の限界を象徴する
二つの事件とは

 時間軸を半年ぐらいさかのぼってみると、アメリカのハイテク株の成長の限界として二つの象徴的な事件がありました。

 一つは、今年の2月3日に起きました。フェイスブックで1日当たりの利用者数が減少したことを報告したメタ社の株価が、1日で約26%減少する「メタ・ショック」が起きたことです。

 もう一つは、動画配信大手のネットフリックスです。こちらも4月20日に会員数が過去10年で初めて減少に転じたことを公表して、株価が1日で35%下落しました。

 これらの現象を眺めると、確かにアメリカのハイテク大手各社は、コロナ禍の巣ごもり需要を背景にわが世の春を謳歌(おうか)していました。そこから転じて、今年の春から夏にかけて成長の限界を迎え、アフターコロナと景気後退で一斉に勢いを落とし始めているように見えます。

 この「アフターコロナと景気後退」は、アメリカIT大手の株価下落をもたらす要素ではあるのですが、ここで見落としてはいけない、もうひとつ重要な要素が存在します。