初めてのOMMで受けた洗礼。しかしながら、過酷な自然にチャレンジするということは、そもそも最後まで自己解決できなければいけないのだ。いたずらに自然に入ることは許されない。

「その経験が僕にとってすごく大きかったし、このブランドの核心だと理解できました。OMMというブランドを日本に広めていくためには、イベントがセットでなければ伝わらない。日本に帰国後、すぐに会社の上層部にOMMイベントチーム作りを相談し、2014年のOMM JAPAN開催に至ったんです」

仲間に自分をさらけ出す
OMMでバディシステムが必然な理由

限界を試すアドベンチャーレース「OMM JAPAN」で見えてくる人間力

 OMM JAPANでは、2人1組のチームで参加しなければいけない。2日分の食料やギアを分け合ってレースに挑む。コロナ禍の影響でルール変更があったりするが、基本的には同じテントを使用して過ごす必要がある。毎年11月に開催されるレースは、低体温症になるリスクがあるからだ。また、山の中に入るので怪我のリスクもあるだろう。そこを補うのは、バディを組んだパートナーだ。

「もうひとつ、バディであることが大事なんです。自然の中ではストレスが高く、ましてやレースという形態をとっているので、それぞれの人間性が表に出やすいんです。バディ同士の喧嘩はOMMでよく見る光景。コントロールしにくい自然の中で、自分をさらけ出し、さらけ出した相手を受け入れて理解し、最適な回答を探るのがOMMなんです。

 走る能力は人によって異なりますから、先頭を走る参加者は常に後ろを気にかけ、後ろを走る参加者は常に前を向く。お互いが気遣い合いながら、時間を共有するのです。何度も参加される方には、こういったところに価値を理解してもらっているかと思います」

 ビジネスの領域において、仲間との相互理解は欠かせない。しかしながら、それが非常に難しいのも事実である。仲間の得手不得手を理解し、それでいて自分もさらけだす。強固な仲間との関係をつくることにより、前向きな方向に進めることは周知の事実だ。そんな機会がOMM JAPANの中にはあるのだろう。

*「『OMM JAPAN』イベントディレクター、株式会社ノマディクス取締役・小峯秀行氏に聞く(2)」に続きます。