“澤田純・NTT会長と島田明・NTT社長Photo:Diamond

NTTでは4年ぶりに社長交代が行われ、島田明社長による新体制が発足した。だが、澤田純会長を頂点とするグループ運営体制の継続に変更があったわけではなく、権力シフトが起きたわけではない。強大化する“澤田政権”の権力構造を人事で読み解き、「次の社長」候補を明らかにしていこう。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

4年ぶり社長交代でも
継続する澤田政権

「NTTの破壊者」と呼ばれる澤田純会長(67歳)が過去4年の社長時代に打ち出したグループ再編は、まだ途上にある。

 完全子会社化したNTTドコモの再編は、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)との組織統合が7月に始まったばかり。今年5月に打ち出したNTTグループの海外再編は、NTTデータの傘下で今年10月から始まる。

 2022年6月の社長交代は、こうした「大仕事」が進行中のタイミングで行われた。澤田氏に代わって社長に登板したのが、副社長から昇格した島田明氏(64歳)だ。澤田氏のかたわらで「一緒にNTTの改革を進めてきた」(澤田氏)のが後継指名の理由だ。

 一方で、澤田氏は代表権を保有したまま会長に就任。これにより、実質的に澤田氏をトップとするNTTグループ統治の体制は継続していると言っていい。

 むしろ「澤田さんの影響力は以前より強大になったのではないか」(NTTグループOB)との見方も強い。この支配体制は長期化の様相すら見せている。

 次ページでは、澤田氏が「実力会長」として経営トップの権力を持ち続けている構造を人事の側面から解説する。同時に、長期政権で混迷の兆しを見せる「ポスト島田」となる候補者2人の存在を明かしていこう。