決断が多いほど疲労する?ジョブズやザッカーバーグに学ぶ「思考のミニマリスト化」ビジネスでは決断する機会が多ければ多いほど疲労が蓄積する(写真はイメージです) Photo:PIXTA

企画会議や顧客との商談、経営に関する重大な局面など、ビジネスパーソンは決断を下さなくてはならないことが多い。ところが決断すればするほど疲労が蓄積し、パフォーマンスが低下する恐れがあるという。書籍『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ著、ダイヤモンド社)を参考に、決断による疲労蓄積を考察していこう。(文/フリーライター 鈴木 舞)

小さな決断でさえ
心身を疲弊させるという現実

 些細に見える決断でも、人間は疲労を蓄積していくという説がある。書籍『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』によると、とある興味深い研究が行われた。研究では、選択と決断の積み重ねがその後のパフォーマンスに影響を与えるか否かを調査した。

 調査のために参加者を2つのグループに分け、一方には選択肢を与え、他方には選択肢を与えなかった。調査では、日用品を用いて2つのグループを比較した。選択肢を与えられたグループは、複数の色からTシャツを選ぶ、複数のブランドからシャンプーを選ぶなど、いくつかの選択と判断を求められた。選択肢を与えられなかったグループは、日用品を受け取るのみであった。

 その後、体力テストを含むさまざまなテストを両グループに受けさせた結果、選択肢を与えられなかったグループの方がいずれのテストでも勝る結果となった。

「実験を行った研究者たちは、人間はたとえシンプルなことでも『たくさん判断を下すうちに疲れてしまい』、その後の活動でパフォーマンスが落ちると結論づけている」(『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』より)

 重要度の大小を問わず、決断は心身に疲労を引き起こし、パフォーマンス低下を招き得るというのだ。ポジティブ心理学の草分け的存在であるミハイ・チクセントミハイ博士も次のように主張している。