5枚目のカードは「スプレッドのアドバイスに従った場合に起こりうる結果」を表すので、このカードを決定論的、または運命論的に解釈してはいけないそうです。

 タロット・リーディング全般においても言えることですが、クライアントは自分で自由に決定を下すことができ、それによって将来の出来事も変わる可能性があります。そこを加味して、クライアントが望ましい結果になるよう、選択や行動を変えていけるようなポジティブなアドバイスをすることが大事とのこと。

 出たカードは、逆位置の『ペンタクルの5』でした。

 このカードには、プラスとマイナス両方の意味があります。プラスの意味は、「良い方向への転換、労働環境の改善、貧困や失業の解消」、マイナスの意味は「失業、フラストレーション、逆境、絶望」などです。仕事に対しての質問としては両極端なものが出ました。

 これをどう解釈するかが難しそうですが、スプレッド全体の印象や流れからして、あまりネガティブな意味はなさそうだと判断しました。

 正位置の『ペンタクルの5』で示される「貧困や損失」といった課題が終わりに近づき、仕事に関する問題が片付き始める兆しがあると捉えました。注意点として、投げやりな態度や配慮に欠けた言動をすると、プレゼンへの苦手意識がさらに強まったり、立場が危うくなる可能性もあるかもしれない、ということも付け加えて彼に伝えました。

 その後の彼はというと……。

アンソニー・ルイス(Anthony Louis)
精神科医として豊富な臨床経験を持ち、タロットをはじめとするさまざまな占術の研究に30年以上にわたり取り組んでいる。占星術や占術の講義を国内外で行い、『American Astrology』『The Mountain Astrologer』『The Horary Practitioner』などの雑誌にタロットや占星術、その他の占いに関連した記事を寄稿している。著書には、『ホラリー占星術』(駒草出版)、『完全版タロット事典』(朝日新聞出版)などがある。

 いつもより落ち着いて主体的にプレゼンに臨めたそうです。周りは敵ばかりではないと自分に言い聞かせることで、終始なごやかな雰囲気で進行でき、苦手意識が薄れたそうです。

 いかがだったでしょうか?

 自分以外の誰かを占う場合、解釈してどう伝えるかが難しいところです。

 伝え方しだいで相手との信頼関係が崩れてしまう場合も考えられますから、どんなアドバイスが人を動かしたり、勇気づけられるだろうかとということを強く念頭に置いてカードを読むことが必要なようです。