人間関係、仕事、家族、友人、恋愛、人生……そこに明確な悩みがある、気になることがある、とにかく何となく不安だという時に、誰かに何か言ってほしい、アドバイスがほしい、と思うことはありませんか? でも、そんなことを他人に聞くのはためらわれる、気軽に相談できる人がいない、というのなら、タロットに尋ねてみてはいかがでしょう。
タロットは、自分ひとりで簡単にできるので、カードを引くだけで、気兼ねなく何でも自由に、気楽に尋ねることができます。また、悩みの解決策や未来予測に限らず、自分では気づいていない「本当の自分」を知ることもできる便利なツールでもあるのです。引いたカードの示すアドバイスは、時に驚くほど的確で、自分では思いもつかない新たな視点や発見をもたらしてくれることがあるものです。
このたび、全米15万部のロングセラーとなっている『タロット 基本のリーディング大全』(アンソニー・ルイス著)が刊行されました。欧米圏で定番とされているタロット原典に忠実なカード解釈がベースとなっています。ここでは本書を参考に、タロット初心者のライターが、カードを引いた結果を読み解きます。(構成:野本千尋)
5枚のカードで相手のことを占ってみる
タロットで自分を占うことに慣れてきたら、自分以外の相手を占ってみましょう。
今回、依頼者(クライアント)になってもらったのは、友人の30代男性です。
彼の質問は、「来週、重要なプレゼンがあります。あがり症なので、そもそもプレゼン自体が大の苦手。少しでもそつなく、うまくやり遂げるためのアドバイスがほしい」というもの。
この質問を、5枚のカードを引いて占う「5(ファイブ)カード・スプレッド」で尋ねてみました。
出たカードはこちらです。
【1枚目】過去 ……『カップの6』(逆位置)
【2枚目】現在 ……『ワンドの2』(正位置)
【3枚目】隠れた影響 ……『ワンドのペイジ』(正位置)
【4枚目】アドバイス ……『カップのエース』(正位置)
【5枚目】予想される結果 ……『ペンタクルの5』(逆位置)
大アルカナは1枚もなく、見事に小アルカナばかりが出ました。
これは人生に関わる大きな変化や出来事というよりも、プレゼンに対する彼の心理的な葛藤が強く現れているような気がします。
現状に到るまでの影響を表す1枚目(過去)のカードは、逆位置の『カップの6』。
このカードには「現状を望まない、新しいことに挑戦する気がない」などの意味があり、プレゼンに気がすすまない彼の感情と合致します。これまで、彼自身が自分の置かれた状況に適応する気がなかったか、あるいははじめからできないと諦めていたことを表しているような気も……。
2枚目(現在)のカードは、事柄に対する現状の思考や感情、行動を反映します。
正位置の『ワンドの2』のおおまかな意味は「良いスタートを切る、事業の初期段階」なので、本人が心配するほど悪い状況ではないようです。
カードの意味は、「今後の展開を待つ必要があるため、さほど活発なことは起こらない」「その間、変化への準備として落ち着かない気分になる」とあり、これも今の彼の気分と一致しています。「自分の人生に対して責任を負う時」「どんな交渉もうまくいくが、積極的に自己主張をする必要がある」というアドバイスもあったので、逃げ腰にならず、腹を決めてプレゼンに臨むことが大事だと伝えたいのでしょう。
3枚目(隠れた影響)のカードを見てみましょう。
これは、依頼者(クライアント)が質問について見落としていることや気づきを与えてくれるカードです。
正位置の『ワンドのペイジ』には「勇気、大胆さ、楽観主義、主体性」という意味があり、彼は自分が思っているほどプレゼンに対して消極的なわけではなく、意欲や情熱もあることを示しています。また、競争は激しいながらも、新しいチャンスが訪れそうな暗示も!
4枚目(アドバイス)は、これからどう進んでいけばいいかについての実用的なアドバイスです。
正位置の『カップのエース』は「感情の一新、新しい気持ちの高まり、ポジティブな仕事上の関係」を意味するカードなので、何らかのかたちで苦手意識が変わっていく可能性があります。
『カップのエース』は、特に人間関係における感情の変化を表すことが多いので、誰かの優しさに触れたり、新しい友情や信頼関係が生まれることを示唆しています。この意味をアドバイスとして変換し直すと、「周囲への気遣いや配慮、友好的な態度を意識しながら、インスピレーションや独創性を発揮すれば、力強い味方を得られそう……」ということでしょうか。
いよいよ最後、5枚目(予想される結果)のカードです。