2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。
日本人は助け合って生きてきた「草食」の民族
そもそも日本人は、「草食動物の教育」を受けてきたはずです。米、麦、粟、稗を食べ、キリンやシマウマや象や羊やヤギのように、仲間を大事にして、寄り集まって生きてきました。
「競わない、比べない、争わない」で、「よき仲間」に囲まれ、助け合いながら生きていく。これが「草食動物」の特徴です。
一方で西洋人は、「肉食動物」です。
「肉食動物」のライオンやトラや狼は、とても攻撃的で、ときには仲間同士で殺し合うことさえあります。
日本人は明治以降、「競い合う、比べる、争う」という西洋的な「肉食動物の教育」を教え込まれてきました。
「足りないものを手に入れ、向上し、人よりも抜きん出ること」が、「人生の目的」だと教え込まれてきたのです。
けれども、日本人は、そもそも「草食動物」の遺伝子を持っています。ということは、「肉食型」の西洋的な解決方法は、日本人には適していないのではないでしょうか。
事実、「草食動物」としての優しさを持っている人は、肉食型・西洋型の社会に適応できなくなっているような気がします。
学校でも社会に出てからも「西洋的な解決方法」しか知らないため、苦しみ続けてしまい、なかには病気になってしまう人もいます。
次に、「東洋的な解決方法」は、
「世の中は、『そもそも思いどおりにならないものである』と思い定めること」
です。
妻も夫も、子どもも、上司も部下も、社長も社員も、「思いどおりにならないんだ」と思い定める。これが「東洋的な解決方法」です。
「競って、比べて、争って、自分の思いどおりにしよう」とするのではなく、「世の中はそもそも、思いどおりにならないものである」と諦めて受け入れるという、「草食型」の日本人に適した解決方法です。
「諦める」というのは、言葉の語源でいうと「宇宙の法則を自分の中であきらしめる(明らかにする)」ことです。
「宇宙がそういうふうになっているのなら、しょうがないよね」と理解することであり、「諦観」とは、「諦めの観察」=「悟り」のことをいいます。