中国の不動産市場、
「都市化」で“春”の兆し?

 2012年、中国の経済成長率は7.8%。13年振りに8%を割り込んだ。これは12年が「中国不動産、冬の時代」といわれてきたことと無関係ではない。

 上海でも「不動産、冬の時代」と言われ始めて一年が過ぎた。ちょうど昨年の今頃は、不動産に代わる新たな価値の創造が叫ばれており、不動産で潤った中国人経営者や投資家は“非不動産”に軸足を移そうとしていた。

 その後、数ヵ月が経過するが、不動産価格は微増微減。多くの投資家は値上がりに期待できないことから自信を失い、中には慌てて売り逃げる者も現れた。他方、住宅購入を検討する一般市民らは「ほとんど値下がりしない」と失望した。

 不動産の専門家たちは「不動産市場は今後好転するか」の問いに、歯切れのいい回答を出せずにいた。「2010年7月を最後に、中国の不動産価格の値上がりはないだろう」とする専門家すらいた。

 しかし、「冬の時代」だったはずの中国の不動産市場が復活しようとしている。2012年12月、中国70都市における住宅販売価格について中国国家統計局は、「54都市で前月比上昇、40都市で前年比上昇」だとした。

 上海はじめ中国全体の不動産市況を冷え込ませてしまった元凶といえば、中央政府発令の『限購令』(*1)に他ならない。『限購令』は、2011年の1月末に27の大都市(*2)を中心に適用され、その後全国の主要都市に広まった。

 開始から2年が経過した今、この政策は結果として、不動産投資に過度に依存する中国経済全体を冷え込ませてしまうことにもなった。にもかかわらず、中央政府は今年も引き続きこの『限購令』を継続させる意向だと報じられ、不動産価格の過熱を抑え込むという政策は変わらない。

(*1)限購令は「各都市に戸籍のある者しか買えない」「保有できるのは2戸まで」「外地戸籍者は1戸まで」「購入者は、過去5年間の所得税と社会保険料の納付を証明できる者」などとするもので、購入そのものの行為を規制し、投機的行為を抑制する法令。

(*2)限購令は当初、36都市(北京・上海・天津・重慶の4直轄市、厦門・深センの2経済特区、大連・寧波・青島の3経済技術開発区、27の省都など)から施行されたが、現在では全国の主要都市で適用されている。