平気で人に相談する人が気づいていないこと
ネガティブ思考を抑え込んだり、無理して忘れてようとするのがNGなら、友人や家族に相談するのはどうか?
実際、悩み事があったりネガティブな気持ちになったりすると、人は他人に相談する傾向があることが心理学的にも研究されており[6]、程度の差こそあれ、これは万国共通なことがわかっています。[7]
それもそのはず、人間の脳は他の人との関わり合いを予期すると、快楽物質であるドーパミンを分泌します。[8]
脳はその「快楽」を求めて、悲しみを他の人とシェアしようとするのです。
そして、人に実際に悩みを相談するとき、一回相談してある程度の解決方向が見えると、つい何度も同じ人に相談してしまう傾向があります。
すると、聞き手のほうはたまりません。
ネガテイブな相談に嫌気がさし、なんとか相談されないようにその人との接触を避けたり、関係が引きぎみになったりします。
実際、同じ人に何度も悩みを相談すると、人間関係が悪化してしまう傾向が明らかにされています。[9]
つまり、悲しいときに助けを求めて人に相談してしまうと、人間関係に悪影響が出てしまい、かえって心の不安定につながってしまうのです。
ネガティブ思考との正しい向き合い方
無理に忘れようしたり、人に相談するのが得策でもなさそう。
では一体全体、ネガティブな気持ちをなんとか処理するにはどうしたらいいのでしょうか?
必要なのは、そのネガティブな気持ちをそのまま受け止め、その気持ちがなぜ起きてしまっているのかと正直に向き合うこと。
そのうえで、超ド級のネガティブな出来事や日々のヘコみを新たな視点から解釈し直すことなのです。
その方法は、これまでの心理療法などの歴史で様々に確立されてきました。
まず一つ有効なのが、『スタンフォード式生き抜く力』で詳しく解説しているマインドフルネスで、自分の心と落ち着いて向き合う習慣をつけること。
この本でも述べているように、科学的にもマインドフルネスの持つ、メンタルの強化の効果はお墨付きです。
その他の具体的なネガティブ思考の見直し方については、『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』も参考にしていただければ幸いです
(本稿は『スタンフォード式生き抜く力』の著者・星友啓氏による特別寄稿です)
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『スタンフォード式生き抜く力』は、自分でも気づかなかった心の傷を癒す方法や、困難を乗り越えるためのノウハウが一冊に凝縮されています。ぜひチェックしてみてください。
【参考先】
*1 Nolen-Hoeksema S, Wisco BE, Lyubomirsky S. 2008. Rethinking rumination. Perspect. Psychol. Sci. 3:400-24
*2 Nolen-Hoeksema S, Watkins ER. 2011. A heuristic for developing transdiagnostic models of psychopathology: explaining multifinality and divergent trajectories. Perspect. Psychol. Sci. 6:589-609
*3 Nolen-Hoeksema S, Stice E, Wade E, Bohon C. 2007. Reciprocal relations between rumination and bulimic, substance abuse, and depressive symptoms in female adolescents. J. Abnorm. Psychol. 116:198-207
*4 Marc A Brackett(2019)Permission to Feel: unlocking the power of emotions to help our kids, ourselves, and our society thrive, Celadon Books: New York.
*5 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3939772/
Chapman BP, Fiscella K, Kawachi I, Duberstein P, Muennig P. Emotion suppression and mortality risk over a 12-year follow-up. J Psychosom Res. 2013;75(4):381-385. doi:10.1016/j.jpsychores.2013.07.014
*6 Rimé B. Emotion Elicits the Social Sharing of Emotion: Theory and Empirical Review. Emotion Review. 2009;1(1):60-85. doi:10.1177/1754073908097189
*7 Singh‐Manoux, Archana and Catrin Finkenauer. “Cultural Variations in Social Sharing of Emotions.” Journal of Cross-Cultural Psychology 32(2001): 647 - 661.
*8 Salamone, John D, and Mercè Correa. “The mysterious motivational functions of mesolimbic dopamine.” Neuron vol. 76,3(2012): 470-85. doi:10.1016/j.neuron.2012.10.021
*9 Nolen-Hoeksema S., Davis C.G.(1999). “Thanks for sharing that”: Ruminators and their social support networks. Journal of Personality and Social Psychology, 77, 801-814.