しかし、周囲の人間に「マイクロソフトが変わっている」という話をしても、まるでピンときていない。多くの人が、そんなことは知らないのである。

 そして、驚くべきことが起きたのは、平野社長にインタビューした年の秋のことである。マイクロソフトは創業40年目にして、株価が最高値をつけたのだ。

 調べてみて、もっと驚いた。Windowsブームに沸いた1997年、マイクロソフトは時価総額で世界の企業ベスト5に入っていた。これはさもありなんだろう。

 ところが10年後の2007年も第3位とベスト5に入っていたのである。これは、ビジネスがコンシューマー向けからビジネス向けへと大きく変化していたことが大きい。

 そして2017年、なおもマイクロソフトは時価総額ベスト5に入っていた。20 年間にわたって世界の時価総額ベスト5に入っているのだ。こんな会社は他にないのではないか。

 例えば、97年のベスト5には、日本のNTTや石油会社が入っていた。グーグルやフェイスブックは存在もしていない。07年には、GEやシティグループが入っていた。

 産業界は移ろいが激しい。他の顔ぶれはすっかり変わっているのに、マイクロソフトだけは残っているのである。言うまでもないが、同じことをしていたら、生き残れるはずがない。

 そして今、マイクロソフトは再び変わろうとしている。この会社はなぜこれほどまでに変われるのか。株式市場は何を評価しているのか。どんな未来をつくろうとしているのか。マイクロソフトに対して、さらなる興味が深まった。