性格の違いを知ることの意外なメリット

ーーきょうだいの有無や生まれ順による性格の違いを知ることには、どんなメリットがあるのでしょうか?

五百田この本を書いたときに、私自身が多くの人に取材しながら、家族構成や生まれ順が、こんなにも性格に影響を与えているんだということに非常に驚きましたし、読者の方からも「違いがわかったら、肩の荷が降りた」という感想をいただきました。

激化する中学受験、難関校が小学生に求める1つの人物像五百田達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー。米国CCE,Inc.認定 GCDFキャリアカウンセラー
東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て、五百田達成事務所を設立。個人カウンセリング、セミナー、講演、執筆など、多岐にわたって活躍中。専門分野は「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」「SNSと人づきあい」「ことばと伝え方」。「あさイチ」(NHK)「スッキリ」(日本テレビ)、「この差って何ですか?」(TBS)ほか、テレビ・雑誌などのメディア出演も多数。最新刊『部下 後輩 年下との話し方』のほか、『察しない男 説明しない女』『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たち』『話し方で損する人 得する人』『超雑談力』『不機嫌な妻 無関心な夫』(以上、ディスカヴァー)はシリーズ100万部を超えている。

 ある長子の女性からいただいた感想なんです。わが子に最高の教育を与えたいと思っているから、塾や習い事を一生懸命考えているのに、末っ子である夫は「それでいいんじゃない」とか「子どもの頃はボールでも蹴らしておけばいいんじゃない」なんていういい加減な態度をとる。何を考えているのか本当に意味がわからないし、なんでもっと真剣に考えてくれないんだと憤りまくっていたみたいです。

 でもこの本読んで、夫はやる気ないんじゃなくて、末っ子の性格なんだと思ったらスッキリしたんだとか。長子は、自分でテキパキ決めて、責任を持つのが好きな一方で、末子の性格は自分で決断することに慣れておらず、決断につきまとう責任感も嫌い。だから、物事が決まらない場面に出くわすと、長子はいてもたってもいられなくなるんだなと。

 相手は自分となんでこんなにも違うんだろうと思うことがあれば不安になったりイライラしたりもしますが、そもそも生まれ順によって人の性格は大きく違ってくるということを知るだけで、他人の行動への理解が深まって、相手に合わせてコミュニケーションを変えていこうという発想になると思います。

同じ塾に通えば、みんな同じように成績が上がるわけじゃない

富永:塾でたくさんの子どもを見ていると、生まれ順以外にも、性別の違いなども含めて、当たり前なんですが、本当に一人ひとり性格や考え方が違うんだということに気付かされます。

 多くの親御さんは、隣の子とうちの子は、なんで同じ塾に行っているのに成績が違うんだろうっていう疑問を持っていると思うんです。でも、やる気やモチベーションだって、得意不得意だって、それぞれ違います。

 同じ塾に行けばいいのか、同じ家庭教師をつければいいのかとかって言ったときに、実は兄弟によっても家での接し方は変えなきゃいけなかったり、男女で変えなきゃいけなかったりするわけで、そういった違いがわかるだけでも、親御さんには大きなメリットがあるんじゃないかと思っています。