五百田:なんだかそれをあまり意識しないで、とにかく右にならえで同じ塾に通わせれば一定の成績になると思いがちですけど、同じ家族の中でさえ、一人ひとり違うんですよね。

 きっと同じ小学校、同じ学年、同じ地域に住んでると、無意識に同じ括りで見てしまうんだと思います。だって、大人でも同じ会社にいる同期の人は、同じ括りで見られるわけです。じゃあ、なぜ同期なのに成果に差が出るのかって考えると、まず安直に思いつくことが「量の違い」で、もっともっと多くの時間費やして頑張れというプレッシャーで苦しんでいる人が多い。

富永:まったくその通りです。子どもにとっても、たくさん勉強をしなきゃいけない時期があるのは間違いないと思いますが、もっと大前提に、子どもの個性に合った環境や方法を考えていかないと、親も子ども苦しくなってしまいます。

ひとりっ子を育てる上で、恵まれた環境

五百田:富永さんは、ひとりっ子親がわが子に合った環境を見つけるために、何をすればいいと考えていますか?

富永:私が『ひとりっ子の学力の伸ばし方』でも強調したのは、「第三者の目線」を早めに入れた方がいいということです。親が頭で考えてるよりは、早めに色々な環境に触れさせてあげるのがいいと思います。

 以前に比べると、今はひとりっ子を育てる上で本当に恵まれた環境になってきています。実は知られてないけど、いいものがいろんなとこに増えてきていてます。例えば、中学受験は40年前30年前は、日能研で四谷大塚しかなかった。それが途中からサピックスができて、学童も英会話スクールも、たくさんあります。

 運動系の習い事だって芸術系の習い事だってそうでしょう。何でも選択肢が増えてきているんですが、意外に保護者の方がその新しいものに対しての保守的な考え方が強くて、新しい教育や環境に対する不安があってなかなか行けないんです。

 子どもにとって最適な環境は一人ひとり違うので、早いうちからフットワーク軽く色々なことを試しながら、お子さんに合った環境を見つけてあげることが、親ができる最大の役割なんじゃないかと思います。

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