「ひとりっ子家庭」と「きょうだい家庭」の違い
五百田:たしかに、問題集で受験対策をすれば解けるようになるといった類の問題じゃありませんね。
ところでふと思うんですが、こういった自分とは異なる家族の価値観や常識みたいなものが問われる出題については、どうしてもひとりっ子が苦労するんじゃないでしょうか。
きょうだいがいる家庭では、兄姉弟妹の友だちと一緒に遊ぶ機会があって、自然と色々な家庭文化に接する機会が増えますし、そういった経験から学べることも多いですが、ひとりっ子の場合、そういったきょうだいを通じて他の家庭の常識を経験する機会は、どうしても少なくなってしまいますよね。
人間力重視の教育、でも人間力って一体何?
五百田:富永さんは先ほど「学校側が、受験生の人間力を見ている」と言いましたが、学校側が求めている人間力を解きほぐすと、一体どんな力になるんでしょうか?
富永:やっぱり「自分から行く力」なんだと思います。受身じゃなくて、色々な外の世界に目を向ける力、それをもっと言うと「興味」とか「好奇心」という言葉になるんだと思っています。
今、どこの学校も、このような力をものすごく求めているところがあって、だから逆に言うと、ひとりっ子に対して一番必要なことっていうのは、親が興味とか好奇心を広げてあげることなんじゃないかと思います。
もちろん、きょうだいがいること自体が良いとか悪いとかではなく、五百田さんが『不機嫌な長男・長女 無責任な末っ子たちーー「きょうだい型」性格分析&コミュニケーション』の中で分析されているとおり、きょうだいがいる人とひとりっ子では性格や考え方に大きな違いが出るので、それを頭に入れておくだけでも親は安心できると思います。
子どもの特徴は、家族構成や環境の影響を大きく受けるということを前提にすれば、わが子に合った育て方を探していこうという発想になると思うので。