不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!

【精神科医が教える】無意識な思い込みが不幸を呼び込む…「~な気がする」というフレーズに隠されたどうしようもない人生の闇

「~な気がする」の落とし穴

仕事でもプライベートでも、日ごろ話をするなかで「~な気がする」というフレーズをちょくちょく耳にしませんか? この「~な気がする」っていうのは、たいていの場合、勘違いなんですね。

これは先日、ある友人と話をしていて気づかされたことでした。その友人は、とても頑張り屋さんなんですが、「一所懸命にやっていると、見えてくる世界がある気がする」みたいなことを言ったんです。

それに対してアテクシは、「漠然とそんな気がしているだけで、きっとそんな世界なんて向こうから見えてくることなんてないよ」と身も蓋もないことを言ってしまったんです。さらに「一所懸命にやるなら、『~のために一所懸命やろう』っていうふうに、目標を明確にしたほうがいいよ。漠然とした理由でやってると、体を壊しちゃうよ」とつけ加えたんですね。

自分に対する言い訳をしたいだけかもしれない

なんで、こんなことを言ったかというと、「頑張っていれば、うまくいく気がする」っていうふうに、漠然と自分を正当化したいがための発言に聞こえたからなんです。

彼に限らず、世の中には「~を買ったら、うまくいく気がする」なんて、具体的になにとはいいませんが、高額なものを買ったりする人がいますよね。それは、自分に対する漠然とした言い訳にしているところが大きいと思うんです。「うまくいく気がする」「幸せになれる気がする」みたいに、明確な理由がない曖昧なケースが多いからです。

「~な気がする」という時点で自分に対して逃げ道をつくるような構造が隠れているんですね。裏を返せば、自分自身でも「なんか意味がないかもしれないな…」と無意識ながらも自覚しているがゆえの故の言葉なんです。

立ち止まって考えてみて

今回の友人との会話でも、「~な気がする」っていうのは、なにも言ってないに等しいように思ったんです。その先に見えてくる世界なんてないと本当は自覚しているのに、自分に対する逃げ道として言ってしまっていることに気づいていない。

ちょっと厳しい言い方になりますけれど、「そんな世界は見えてこないのに、ただ頑張っている」っていう話なんです。このままだと、彼は頑張りすぎて体調を崩すことになりかねないと思って、あえて釘を差したんですね。

アナタも「~な気がする」という言い方をしたときには、ちょっと立ち止まって考えてみてください。その先には、大きな落とし穴が待ち構えているかもしれないのですから。

本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。