不安や悩みが尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そこで参考にしたいのが、増刷を重ねて好評多々の感動小説『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。とても読みやすいオムニバス形式の8つのショートストーリーは、ふと心が落ち込んだとき、そっと心の荷物を手放すための優しい言葉を授けてくれる。voicy「精神科医Tomy きょうのひとこと」の心がスッと軽くなる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日がラクになる!
みんなが同じような情報を持っていた
いろんな情報がネットで当たり前のように得られるようになるまでは、テレビや新聞の情報が、いまよりずっと貴重でした。2000年代前半くらいまでは、通勤電車で新聞を折りたたんで読んでいるサラリーマンの姿を当たり前のように見かけたものですが、いまではほとんど見かけなくなり、スマホを手にしている人が増えましたね。
限られた数のテレビや新聞を情報源にしていたかつての時代は、みんなが得られる情報が似通っていました。同じテレビ番組を観て、次の日に、そのことについてみんなで盛り上がるなんてことがあったんですね。
みんなが同じような情報を得て、同じようなことを考えていていたようなイメージです。それがいまではメディアがだいぶ多様化して、以前に比べるとテレビの視聴率は下がり、その分、YouTubeやNetflix、TwitterやInstagram、TikTokなどを視聴する時間が長くなっています。
自分の常識と噛み合わない人が増えたワケ
あらゆるものには良い面もあれば悪い面もありますが、これはメディアの多様化にもいえることです。そのひとつは、かつてより人によって「常識」がだいぶ異なってきたことです。かなり感覚的なことではありますが、相手に求める善意のレベルも、人によってバラツキが広がってきたように感じるんですね。
たとえば、サービス業への接し方ひとつにしても、「こっちは客なんだから、これぐらいまではしてくれるよね」「これ以上はしなくてもいいよね」という常識のレベルに、だいぶ人による差があって、よくわからなくなってきているように感じるんです。
こういう状況になると、争いごとや揉めごと、つまり人と人との対立が生じやすくなりがちですし、実際にそうなっているような気もします。アテクシ自身も、自分の常識と噛み合わない人と出あう機会が増えて、仕事をするときでも違和感を得ることが増えているような気もするんです。
出あう人は全員宇宙人と思うくらいがちょうどいい
要するに、お互いが常識的なこととして相手に期待するレベルが違うので、トラブルに発展しやすくなっているんです。そういう意味では、ジェネレーションギャップ(世代間格差)じゃなくて、個人個人の常識のギャップが激しい時代になっているように思います。
極端にいうと、初対面の相手は、どういう常識の持ち主かはわからない。全員宇宙人だと思うくらいの気持ちで、ゼロから理解を重ねていくような前提を頭の片隅に持っているくらいが、ちょうどいいかもしれません。
それくらいの前提に立って人付き合いしないと、もう人間関係が成り立たない時代になっているし、今後この傾向がさらに加速していくだろうと思っています。初対面の相手には過度な期待をせず、期待値ゼロからのコミュニケーションを念頭においておきましょう。そのほうが余計なストレスを抱えずに済みますから。
本稿は『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)の著者が日々お届けする“心のサプリメント”です。