貴州省を支える2つの瓶詰企業
日本の都道府県に当たる中国の行政区画は「省・直轄市・自治区」だ。筆者は、来日前にすでに全土踏破したと自慢しているのだが、実はいくつかの地方については、一角をかすめた程度で、とても訪問したとはいえない。
たとえば、貴州省、チベット自治区、山西省だ。特に隣接する雲南省に行く回数の多さと比べて、貴州省にはいつも申し訳ないと思う。これまで何度も貴州省を訪問しようとひそかに旅行計画を組んではみたが、実現できなかった。そのせいか、貴州省関連のニュースには、逆に興味を持っているのだが、今注目すべき企業がある。
まず、貴州省の経済は、2つの瓶詰商品を販売する企業に支えられていると、よくいわれる。
一つは、国有企業の「茅台集団」と呼ばれる中国貴州茅台酒だ。
50年前に、北京で日中両国の国交正常化を決めたとき、当時の周恩来首相と田中角栄首相はお祝いの盃を交わした。そのとき、飲み干したのはアルコール度数が強い白酒で貴州省の「茅台酒」だった。この酒造会社が茅台集団だ。
2017年、茅台集団が所在地の遵義市に納めた税金が256億元(今の為替レートで計算すると、約5165億円。以下同)で、遵義市の税金総額の47.3%を占めた。同年、貴州省の財政収入は約1614億元(約3兆2560億円)だったが、茅台集団が納めた税金がその7分の1を占めた。中国の白酒市場におけるシェアは約20%で、瓶詰商品を販売する企業の存在感を遺憾なく見せている。
もう一つの「瓶詰企業」は辣醤(ラージャン)を作る「老干媽(ラオガンマ)」と呼ばれる企業だ。