「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」が
おみやげ算で計算できる理由

では、おみやげ算でなぜ「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」の計算ができるのでしょうか。これを説明するためには、中学校で習う文字式の知識が必要ですが、さっそく説明します。

x、y、zを整数とすると、十の位が同じ2ケタの2数は、10x+y、10x+zと表せます。

そして、十の位が同じ2ケタの2数をかけた数は、(10x+y)(10x+z)と表せます。これを展開すると、
(10x+y)(10x+z)=100 x^2+10xy+10xz+yz  ……①
となります。

一方、「十の位が同じ2ケタの2数をかけた数」を、おみやげ算によって求めます。おみやげ算では、まず、右の数から左の数に、一の位の数のおみやげ(z)を渡します。それは、次のように表されます。

(10x+y)(10x+z) → (10x+y+z)10 x=100 x^2+10xy+10xz

次に、この結果に、「左の数の一の位(y)」とおみやげ(z)をかけた数yzをたすと、次のようになります。

100 x^2+10xy+10xz → 100 x^2+10xy+10xz+yz  ……②

①と②が同じ式になったので、おみやげ算によって、「十の位が同じ2ケタの数どうしのかけ算」を計算できることが説明できました。

「おみやげ算で計算できる理由」を
小学生に説明するには?

文字式での証明は中学数学の範囲ですから、これをこのまま小学生に説明するわけにはいきません。では、小学生にはどのように説明すればよいのでしょうか?

小学生には、長方形の面積図を使って、おみやげ算で計算できる理由を解説できます。その方法について、ここでは誌面の都合で割愛しますが、『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』の巻末に掲載していますので、興味のある方はお手にとってみることをおすすめします。