急速に高齢化が進む中国は、今後、介護の巨大市場になる。日本の複数の大手介護事業者が中国に進出したが、一部を除き、多くは今年撤退した。しかし中国では生き残った企業は酷評され、撤退した企業に称賛が集まる不思議な事態になっているという。なぜそのような事態になったのだろうか?(日中福祉プランニング代表 王 青)
日本以上のスピードで少子高齢化が進む中国
中国では少子高齢化が急速に進んでいる。10月26日、中国国家衛生健康委員会老齢健康司が発表した最新の統計によると、2021年末の時点で、60歳以上の高齢者が2.67億人、人口の18.9%を占めている(中国では高齢者の定義が60歳以上)。2035年には、高齢者の人数が4億人を突破し、人口比の30%になると予測されている。
そんな中国は、日本の介護事業者から見れば巨大市場である。これまで少なくない数の日本企業が参入してきたが、成功している企業はないと言っていい。今年、日本を代表する大手介護企業が、約10年間苦戦した末に相次いで中国から撤退した。
目下そんな状況なのだが、先日、筆者はある日中介護分野の座談会にオンラインで出席した。そこで、日本の介護事業者に対する日中関係者の複雑な心境を聞いたので紹介したい。