頑張っているのに成果が出ない。どうすればいいのか、途方にくれる人も少なくないだろう。そんな人におすすめなのが、『1位思考──後発でも圧倒的速さで成長できるシンプルな習慣』。創業9年目で売上300億円にしたアンカー・ジャパンCEOの猿渡歩氏、初の著書だ。猿渡氏は「適度にサボると生産性は上がる」という。27歳入社→33歳アンカーグループ最年少役員→34歳アンカー・ジャパンCEOになった著者が、参入したほぼ全製品カテゴリーでオンラインシェア1位になった秘密は、シンプルな6つの習慣にあった。本書の一部を抜粋しながら急成長の秘密を明らかにしていこう。
アンカーの3つのバリュー
ビジネスは仮説を立て未来を予測する。
こういう施策をすれば、業績がこれくらい伸びるのではと仮説を立てる。
仮説を立てる際は、事実を基礎にし、物事を合理的に考える。
私の考え方と異なる場合でも、メンバーの意見のほうが合理的であれば採用する。
アンカーグループには3つのバリューがあり、メンバー一人ひとりが、これに基づいて行動している。
1 Rationalism(ラショナリズム)=合理的に考えよう
2 Excellence(エクセレンス)=期待を超えよう
3 Growth(グロース)=共に成長しよう
合理的に考えよう
1つ目の「合理的に考えよう」は、「論理的思考に基づいた問題解決が大事」という文化だ。
売上・利益を伸ばすには全社最適の習慣が欠かせない。
だが、これを徹底するのが難しい。
どこかで社内政治が働き、非合理的な判断が行われやすいからだ。
社内政治は合理的ではない。
「社長が言っているから」と何も考えずに従うのはバリューに沿っていない。
期待を超えよう
2つ目の「期待を超えよう」は、「常に顧客を意識し、顧客にとっての真の価値を創造する」という文化である。
忘れがちだが、期待を超える相手は、最終的には上司ではなくお客様だ。
前述のように、合理的に考えれば誰が言ったかより、何を言ったかのほうがはるかに重要だ。
お客様の期待を超える提案をしたうえで、結果として上司や会社の期待を超える。
チームメンバーからの期待、上長からの期待、取引先からの期待、そしてお客様からの期待。それぞれは独立するものではない。
その意識が醸成されると、全体最適に基づいて意思決定できる組織になっていく。
「共に成長しよう」に合った人を採用する理由
3つ目の「共に成長しよう」は採用の場面で強く意識している
継続的にそんな人材を採用することが、全体最適の経営につながるからだ。
以前、チームのパフォーマンスを下げてしまう人がいた。
成長意欲が低く、成長したい会社、成長したいメンバーの悪口を言う。
残念ながら不平不満ばかりで周囲のモチベーションを下げてしまう人だった。
サッカーなどの団体スポーツも同じで、思うようなプレーができず、終始ふてくされた態度の人が一人でもいると、周囲に悪影響を与える。結果としてチームは勝利から遠ざかってしまう。
だからこそ「Growth(グロース)=共に成長しよう」に合った人を採用する。
幸いにも業績は右肩上がりで、やりたいこと、やるべきことが増えているため、人材は喉から手が出るほどほしいが、採用は妥協しないようにしている。
社員もその点に理解を示してくれ、こう言っている。
「早く人を増やしてほしい。
でも、バリューを共有できない人を焦って採用するより、3ヵ月後、半年後でもバリューを共有できる人に入社してもらいたい」
「能力があって、会社のカルチャーにマッチした人に入社してほしい」
がメンバーの総意となっている。
(本稿は『1位思考』の一部を抜粋・編集したものです)