高校生で金融リテラシーを身に付けるように学習指導要領が改訂されたが、米国の先行研究の結果を踏まえると効果的とは思えない。そこで「知の巨人」の呼び声高い佐藤優氏と、著名投資家である村上世彰氏、そして「経営の神様」と称された稲盛和夫氏の教えをご紹介する。子どもたちが将来社会に出てビジネスで成功するため、本当に学ぶべきことは何なのか考えたい。(イトモス研究所所長 小倉健一)
佐藤優氏、村上世彰氏、稲盛和夫氏
3人に学ぶ高校時代に知るべきこと
2022年4月からの成年年齢引き下げにより、18歳からクレジットカードを作るなど金融に関するさまざまな契約を自ら行えるようになった。金融庁によれば、そのことで金融経済教育の重要性はますます高まったのだという。それに伴って、22年4月からの高校学習指導要領の改訂で、金融経済教育の内容が拡充された。
「高校生のみなさん、金融リテラシーをつけましょう」ということなのだろう。金融庁の資料によると、金融リテラシーが高いと次のような良いことがあるという。
・家計管理がしっかりしている
・計画を立ててお金を準備しているので、やりたいことを実現しやすい
・緊急時の備えがあるので、危機(自身のケガや病気、 不景気による収入減など)に強い
・詐欺や多重債務などの金融トラブルにあうことが少ない
・経済的に自立し、より良い暮らしを送ることができる
しかし、私は金融庁の金融経済教育については否定的な立場だ。
例えば、米国には金融学術誌「The Review of Financial Studies」に掲載された下記のような先行研究がある。
「Smart Money? The Effect of Education on Financial Outcomes(賢いお金の使い方?教育が経済的成果に与える影響)」(2014年)だ。
その内容を引用しながら、筆者が金融庁の金融経済教育について否定的である論拠を提示しよう。さらに、将来子どもたちが社会に出てビジネスで成功するためには、高校生のときに何を学ぶべきなのかを考えたい。そのために、「知の巨人」の呼び声高い佐藤優氏と、著名投資家である村上世彰氏、そして「経営の神様」と称された稲盛和夫氏の教えをご紹介する。