「6人全員が部長」のシマも…中高年がダブつく電通

 そこで、役職定年制を設け、一定の年齢で区切って、部長や課長のポストから強制的に退かせる会社が、この10年ほどで目立ってきた。

 たとえば電通は、2018年までに、部長の役職定年(ポストオフ)を54歳に引き下げた。かつては58歳だった。54歳になった時点で、1つ上の局長補に昇格できなければ、部長を降りて部下のいない担当職になるということだ。アップ・オア・ダウン。部長には過半がなれるが、局長補以上になれる人はひと握りなので、ほとんどの社員は、54歳になった時点で、定年60歳までの消化試合に突入する。

【電通、SB、NHK…】「仕事してるフリ」元管理職を量産する“役職定年制”のリアル
【筆者注】筆者による取材時点での情報。電通は2018年末に役職定年制度を廃止したと主張しているが、その運用実態は不明である(2022/12/30追記)。

 同社は、若手が配属されない本社の管理部門を中心に、「部長だけが6人集められたシマもあった」(中堅社員)くらい、いびつな高コスト体質となり、断続的に45歳以上を対象に希望退職者を募集し、若返りを図っている。2015年に104人、2016年には約130人が希望退職に応募して辞めた。2020年には、40~59歳の社員230人が早期退職し、個人事業主契約に移行した。

「窓際族は、まず一見してわかる人が、50代の1割は確実にいます。本来は必要のない資料作成など無理矢理仕事を作って、“仕事しているふり”を上司にさせられるケースも多く、そういった無意味な作業をしている人を入れると、計2割はいます」(元社員)