ソフトバンク、NHK、毎日新聞社…
採用してしまった以上しかたない

 ソフトバンクも、「課長50歳まで、部長55歳まで」とする役職定年制「役職バトンタッチ制度」を、2016年度に導入。人事の停滞を防ぎ、新陳代謝を促して組織を活性化するのが目的だ。そうすると、「元課長」や「元部長」がたくさん出てくる。定年まで何をするのかというと、これまで外注していた業務、つまり《非本業の業務》を内製化して、担当させるのだという。

 NHKも、ついに重い腰をあげ、2022年度から段階的に役職定年制を導入、同時に50~56歳を対象に早期退職者を募集し、管理職の人数を約3割削減する計画を公表している。絶対に潰れない「ぬるま湯」の特殊法人なので、ろくに仕事がない高給取りの管理職がたくさんいるのである。

 さらに上をいっているのが、毎日新聞社である。「ダイヤモンド・オンライン」によると、2019年時点で50歳以上が全社員の4割強を占め、管理職が全体の3割以上を占めるに至った結果、50代を対象に200人規模(全社員は2100人)の早期退職を募集したのだという(※)。実に、10人いたら4人以上が50代。無計画な採用がたたって、“超高齢化”企業になってしまった。

 ※参考記事:毎日新聞が200人規模の早期退職、役員の呆れた「仕事削減策」に怒る現場(「ダイヤモンド・オンライン」2019/7/2)

 このように、大企業にとって40代以上の社員の大半はお荷物であり、本音では、若い人に部課長ポストを与え、モチベーション高く、権限と責任を与えてバリバリ働かせたい。だが、すでに居るものは仕方がない。ヒトはモノのように捨てられないから、なるべく早めにポストオフして権限を減らし、賃金を下げ、割増退職金のインセンティブをつけて早期退職を促す、しかないのが日本の実情である。

(本記事は『「いい会社」はどこにある?──自分だけの「最高の職場」が見つかる9つの視点』の本文を抜粋して、再編集を加えたものです)