【お寺の掲示板113】仏教の教えから因果応報と反戦を考える写真左:妙慶院(広島) 投稿者:myoukeiin_buddhastagram [2022年9月25日]  写真右:西光寺(大分) 投稿者:@hiro5936 [2022年7月13日] 

師走も中盤となりました。前回に引き続き、年末恒例「輝け!お寺の掲示板大賞2022」の受賞作品をご紹介いたします。今年は、大賞と並ぶ「仏教伝道協会賞」に3作品が選ばれるなど、受賞作品の数も増えています。掲示板の言葉がどのような教えにつながっているのか、じっくりとご覧ください。(解説/僧侶 江田智昭)

「言葉」は理解してから口にする

 今年の公益財団法人仏教伝道協会による「仏教伝道協会賞」は3作品あります。その一つが、広島市中区にある浄土宗妙慶院清岸寺の作品「毒言吐いたら 自分も浴びる」です。講評は以下の通りです。

インターネット上などで悪口を目にする機会が非常に増えています。お釈迦さまは『スッタニパータ』の中で、「人が生まれたときには、実に口の中に斧が生じている。愚者は悪口を語って、 その斧によって自分を断つのである」とおっしゃっておられます。他者を傷つける言葉は、自分も傷つけることになります。くれぐれも気を付けたいものです。

 ネット上にいくら匿名アカウントで書き込んだところで、発した悪口は自分のところにブーメランのように必ず戻ってきます。口の中の斧によって自分自身が切り刻まれることのないよう、発する言葉には十分注意しましょう。

 次は、インターネット寺院「彼岸寺」による「彼岸寺賞」です。受賞した掲示板は、大分県日田市の真宗大谷派西光寺の作品「自分が思いつく理由づけだけで、人生は説明できるわけではありません 梶田真章」です。梶田真章師は、京都にある法然院第三十一代貫主で、NPO法人の理事を務めるなどさまざまな活動を実践されています。「彼岸寺」による講評は以下の通りです。

さまざまな不条理が続く中にあって、なんとかそれを受け止めようと、自分が理解できるものだけに飛びついてしまいがちな私たちのあり方を諌(いさ)めてくれる金言。京都にある法然院の梶田真章貫主がNHK「こころの時代」に出演されたときに話された言葉から。

 Googleなど検索エンジンを使えば、分からないことでも簡単に“答え”を見つけることができます。しかし、何でもインターネットで検索すれば“答え”が出てくるわけではありません。人生には時として、全く予期しない大変不可解なことが起こるからです。

「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そして、まさか」という言葉がよくお寺の掲示板に登場します。「まさか」の事態はどんな人にも起こります。このことを忘れないようにしておきましょう。