金融機関側の準備にも
時間的余裕が生じる

 また、非課税で運用が可能な資産の金額(「枠」)は個人単位で総額に上限が設けられるが、一度換金してしまった場合に再びその相当額(簿価ベース)を積み立てられるようになるので、「枠」が繰り返し利用可能だ。いつでも換金できることは、もともとiDeCo(個人型確定拠出年金)などと比較した場合のNISAの長所だったが、この使い道が一層柔軟に拡大できる。新しいNISAは「有利な投資ができるお財布」のような使い方をすることが可能だ。

「新旧分離」は言葉だけではピンとこないかもしれないが、これまでの一般NISAやつみたてNISAを、そのまま制度の期限まで利用しながら、新しいNISAについては、新たに枠全体を使うことができるという、これまでのNISA利用者にとってはありがたい仕組みだ。

 ちなみに、この措置によって、金融機関側の簿価による上限枠の管理やその他システム開発に時間的余裕が生じる。新たな「枠」は直ちには上限に達しないからだ。

 税制優遇期間の無期限化とも合わせて、これまで理解や説明が面倒だった「ロールオーバー」が不要になる点も地味だが喜ばしい。

 税制優遇される「枠」の金額や運用対象として選ぶことができる商品については、税制大綱やその後の金融庁の発表を待つことになる。しかし、「枠」は総額で1500万円以上の数字が報道されており、庶民にはまずは十分な金額だろう。期待される運用益も含めて考えると、金融庁としては、2019年に大炎上した「老後2000万円問題」に対して十分な解決案を用意できたといっていいのではないだろうか。

 なお、対象となる運用商品については、現在のつみたてNISAで対象になっている商品があれば十分だ。その範囲はむしろ広げすぎない方が好ましいと言っておく。