50代の「親」のお金が
大問題であるケースも多い
世に言う「8050問題」とは、80代になった親が50代の子どもの生活の面倒を見る状況を指すものだったが、逆にいうと50代には80歳前後の親がいるケースが多い。
この場合、「親のお金が大問題」であるケースが少なくない。50代の読者には、NISA以前の問題として、親の金融資産がどのような状況になっているか、ぜひ確かめてみてほしい。季節は12月だ。年末年始に里帰りなどで、親に会う機会があるのではないだろうか。
まだ資産形成期で、場合によってはわが子の教育費などで支出の多い50代の子どもよりも、80代の親は多額な金融資産を持っていることがある。そして、年代的には取引金融機関の勧めるままに資産を運用しているケースが少なくない。「大変なことになっている」場合が多々あることは想像に難くない。
ここで、50代の子どもが資産運用に関して正しい知識を持っていたら、親の金融資産を救うことができるし、その救いの恩恵は将来の相続を通じて子ども本人にも及ぶことになる。
また「80歳」は、認知症の可能性を現実的に心配しなければならない年齢だ。認知症が進行した場合、預金や有価証券、さらには不動産などの扱いに関して、本人以外の「信頼できる誰か」のサポートが必要だ。そして、それは多くの場合子どもだろう。
親本人が金融取引を行うことが難しくなった場合に代理で取引ができる「財産管理等委任契約」と、親の認知症が進行して成年後見が必要になった場合に、弁護士や司法書士が法定後見人として付く法定後見を避けるための「任意後見契約」をあらかじめ結んでおく等の事前の対策が必要だ(カギかっこ付きの言葉をインターネットで検索してみてください)。
50代の資産運用に関する覚醒は、その親世代にとってもプラスの効果が大きい。
50代が正しい運用知識を持てば
「子ども」のお金にも役立つ
50代にあっては、親とだけではなく、子どもとの関係も重要だ。今度は自分が親としての立場での問題だが、50代の親の正しい資産運用知識は、学生だったり、就職して間もなかったりする子どもの役にも立つ。
仮に、親が子どもに対して、資産形成の必要性とその正しい方法を教えることができたらどうだろうか。生涯を通じた子どもの経済生活にとってのプラス効果は極めて大きいに違いない。
若い人にとって、iDeCoやNISAのメリットは、誰かに教えられなければなかなか知る機会がない。加えて、これらの初期設定は、自分でやってみることを想像するとそれなりに面倒に感じるものだ。
そこで、既にこれらの制度を利用している50代の親が、子どもに具体的な説明と指導ができたら効果が大きいはずだ。