希代の勝負師は、高インフレやロシアウクライナ戦争に直面する新時代をいかに勝ち抜けるのか──。特集『総予測2023』の本稿では、ウォーレン・バフェット氏、ジョージ・ソロス氏と並び世界三大投資家と称されるジム・ロジャーズ氏を直撃。現下の投資戦略や「金(ゴールド)より銀(シルバー)」を買うべき理由、米国株に手を出さないワケ、中長期的に投資で期待できる国に至るまで一挙に明かしてもらった。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
インフレ退治に失敗すれば
「70年代よりひどい」シナリオも
――FRB(米連邦準備制度理事会)はインフレ抑制のため、急ピッチで利上げを進めてきました。金融政策をどう評価しますか。
私は決して、利上げが急だとは思いません。何度か引き上げたのは良い判断です。しかし、既に大量のマネーを刷り過ぎています。1970年代にも、過剰な金融緩和で紙幣を刷り過ぎた結果、高インフレが発生し、後始末を託された当時のボルカーFRB議長は20%超もの政策金利(FFレート)で対処せざるを得ませんでした。
さすがにその水準は過激だったとしても、足元の利上げは「急速」には程遠いといえるでしょう。とはいえ、インフレ退治は常に難しいのです。今回は、場合によっては70年代よりひどい状況にもなり得ます。
――なぜでしょうか。
70年代の米国はまだ、(対外債権が債務を上回る)債権国でした。それが今や、米国は世界の歴史上最大の債務国です。そして世界の中でも、膨大な量のお金を刷り続けてきました。債務国が大量のお金を刷れば、急激な物価上昇を招くのは歴史の必然です。しかも米国政府は巨額の財政により、債務を膨らませ続けています。私からすれば、これはひどい間違いです。
――そんなインフレ時代に適切な投資戦略とは。
あの著名投資家ジム・ロジャーズ氏が「インフレ時代」、さらにはロシアウクライナ戦争が続く「戦時下」での投資戦略を伝授!今は「金(ゴールド)より銀(シルバー)」を買うべき理由、米国株に手を出さないワケ、中長期的に投資で期待できる国に至るまで、次ページで一挙に明かしていく。