総予測2023#38ほり・けんいち/1962年生まれ。84年慶應義塾大学経済学部卒業、三井物産入社。経営企画部長、ニュートリション・アグリカルチャー本部長などを経て2021年4月より現職。 Photo by Kazutoshi Sumitomo

三大商社の中で資源ビジネスへの依存度が高く、円安と資源高の恩恵を享受する三井物産。2023年3月期の純利益予想を9800億円へと上方修正し、1兆円の大台に迫る。稼いだ金を何に使い、23年の市況をどう見ているのか。特集『総予測2023』の本稿では、三井物産の堀健一社長に、稼いだ利益の投資先と、23年のドル円相場予想について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

「週刊ダイヤモンド」2022年12月24日・31日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

市況の恩恵で業績堅調も会社全体で緊張感
23年の景気は地域・産業で「まだら模様」

――2022年の振り返りは。

 新型コロナウイルス感染拡大が世界で収まりつつあり、人やモノが動けるようになったことが大きいですね。コロナ禍からの回復に伴うビジネスを、ある程度獲得できた実感があります。

 円安など市況の恩恵で、企業業績は堅調です。しかし、重要なのは足元の実力を維持し、どう伸ばしていくか。会社全体で緊張感が続いています。

――業績が実力で上がった部分は。

 中期経営計画の3年目を迎え、底力は上がっていますよ。

 特に日本も含め世界の顧客から、不確実性の高い中、「グローバルなサプライチェーンの選択肢を増やす提案はないか」と要望があり、ビジネスが広がっています。この取り組みは継続しなければなりません。

――23年の注目ポイントは。

 金利政策など世界のインフレ対策がどう着地するか注視しています。景気回復が鈍化する可能性はある一方で、われわれは世界各地でビジネスをしており、景況感は地域や産業によってもまだら模様。例えば北米やアジアでは需要が堅調な場面もある。

 景気鈍化には、ビジネスの広がりがあるというわれわれの特徴を生かし、全社一丸となって対応していきます。

資源ビジネスで得た利益の使い道として、「三つの攻め筋で投資していく」と戦略を語った堀社長。次ページでは、優先する投資先と23年のドル円相場予想を堀社長に明かしてもらった。