オフィスビル、ホテルなど幅広く不動産事業を手掛ける森トラスト。コスト高で新規開発が厳しい局面を迎えており、ゼネコンとのせめぎ合いは2023年も続きそうだ。特集『総予測2023』の本稿では、伊達美和子社長に、不動産業界で生き残るための勝負の分かれ目について聞いた。(聞き手/ヴァーティカルメディア編集部 大根田康介)
オフィス空室率6%は「悪くない」
海外投資は累計2000億円を達成
――新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、東京都心5区のオフィス平均空室率が6%台に上昇しました。
コロナ禍前の1%台というのが、むしろ異常でした。6%台というのは、そこまで悪くありません。
2018年から20年にかけてオフィス大量供給の時代が来ると分かっている中、それ以前の時点では「すぐにテナントは埋まらないだろう」とみていました。むしろ、コロナ禍前が好調過ぎたのです。
ちなみに、20年竣工の東京・虎ノ門の「神谷町トラストタワー」はほぼ埋まっています。新規移転、拠点集約などのニーズがあり、各上下フロアを階段でつなぎやすい構造にして、内装の自由度も高かったのが良かったようです。
――オフィス賃料は下落傾向です。