新築マンションは供給戸数が減少する一方で、販売価格が年々上昇している。とくに1億円超の「億ション」の増加が顕著になっており、総供給戸数に占める割合が1割に近づいている。特集『総予測2023』の本稿では、買い手と売り手双方の観点から億ションが増えている背景を分析する。(ヴァーティカルメディア編集部 大根田康介)
マンション適地が底を突く中
「平均価格3億円」の物件も登場
新築マンションの供給は減少傾向が続く。
不動産経済研究所のデータによると、2017年から21年までの首都圏における新築マンションの総供給戸数は3万戸前後で推移している(下図参照)。
22年は3万1592戸と予想される。これは、約20年前の9万戸前後、約10年前の5万戸前後と比べるとかなりの低水準だ。
理由は幾つかあるが、少子高齢化による人口減少で、家を購入する人が減っていることが大きい。
また、新型コロナウイルスの感染拡大などで好まれるようになった利便性の高い立地で開発競争が激化し、マンション適地が底を突きかけているという事情もある。
そんな中、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の新築マンション市場では目下のところ、1戸当たりの販売価格が1億円を超える「億ション」が増加中だ。「東京都内で23年、平均価格3億円の物件を計画している」と大手デベロッパー関係者は鼻息が荒い。
次ページでは、買い手と売り手の双方の思惑を探りながら、億ションが増えている理由を解き明かしていこう。