中国BYDは車載電池の世界大手として知られるが、バッテリーメーカーとして創業して培った技術力を強みとして、バッテリーからモーターやコントローラーなどの電動車のコアとなる技術を自社開発・製造している。

 中国では9年連続して電気自動車(EV・FCV・PHV)販売台数第1位を獲得しているほか、22年1~10月の世界電気自動車(同)販売台数でも約140万台に上り、テスラを抜いて世界1位になっている。中国市場だけでなく世界戦略でも急成長を遂げ、今や日本を含む世界36の国と地域で乗用車事業の積極策を進めている。生産体制も中国内4工場に加え、9月に初の海外EV生産工場をタイに建設することを発表した。タイでは出足好調で1カ月で約7000台を受注したという。

価格戦略で競合と差別化
独自開発した「ブレード電池」を搭載

 それでは、来年1月末から販売開始される日本市場でのBYDのEVの成否はどうなるか。

 まずは、BYDの新EVの詳細を見てみよう。

 来年1月末から発売されるのはBYDの世界戦略BEVのSUV「アットスリー」のワングレードのみとなる。注目された価格は税込み440万円の設定となった。

 これはライバルEVと比較される米テスラの「モデルY」(643万8000円~)、韓国ヒョンデの「アイオニック5」(479万円~)、独フォルクスワーゲン(VW)の「iD.4」(499万9000円~)や国産の日産「アリア」(539万円~)、スバルの「ソルテラ」(594万円~)より割安で、最大85万円のCEV(クリーンエネルギー車)補助金に各自治体の補助金を加えると、実質300万円余りで購入できることになる。