生命保険の保全手続きと
オペレーティングリース
第一に生命保険の保全手続きを使う方法です。
法人保険は「全部解約するか継続か」の2択ではありません。
全部を解約せず「一部減額」という形で、徐々に切り崩していくことも可能です。例えば解約返戻金のたまりが5000万円だとしても、何年かにかけて徐々に減額していくことで設備投資などの損金と相殺させるということが可能です。
5000万円のうちの1000万円を解約し、その1000万円で設備投資することで利益はゼロになり、課税の繰り延べが節税になったといえます。もちろん設備投資も即時償却から減価償却まで幅広いので、どのような設備投資を行うかは会社次第です。
それ以外にも保全変更の種類によっては、経理処理(益金計上)をしないで解約返戻金の進行をストップさせ、解約返戻金を高止まりさせたまま保険料を払わずに契約のみ継続させる手法も、保険会社によっては取り扱っています。いずれにせよ、生命保険は解約か継続かだけではないと認識いただきたいと思います。
第二にオペレーティングリースです。
オペレーティングリース自体は保険と比べて不確実性の高い金融商品ですので、万人向きではありません。しかし昨今、決算対策手法が限られる中、選択肢としては貴重な存在です。オペレーティングリースとは「船舶や飛行機、コンテナなどのリース事業に出資し、リース期間中に生じる損を経費として計上し、リース料や最終的なリース物件を売却することで投資金額を回収するもの」です。
メリットとしては、大きく次の2つがあります。
(1)2~3年で投資金額のほぼ全額を経費化できること(よくあるのは投資額の初年度7割損金、2年目2割損金…など)
(2)支払うお金は投資時の1度だけで、保険のように毎年払わずに済むこと
一方、デメリットは事業リスクが保険と異なり高いことが挙げられるでしょう。
リーマンショック、コロナショック、ロシアのウクライナ侵攻など、各事業体のリスク(飛行機が飛ばないからリース料が入ってこないとか、賃借人である航空会社の破綻とか)が保険と比べて高いのが特徴です。そしてお金が戻ってくる償還期間も7~10年くらいが多く、短期的に投資資金を回収するという法人には向きません。
また、メリットにもデメリットにもなり得ますが、多くが基本米ドル建てで投資する必要があるので為替リスクがあります。
とはいえ、今、償還を迎えるものは円安のため為替差益が出ることになります。また、最低投資金額が3000万~5000万円以上の案件が多いので、100万円規模でもできる保険とは投資の大きさが異なります(リーマンショック時は償還時に大幅な為替差損で大変なことになりましたが)。
節税保険の解約返戻金を今後、オペレーティングリースに投資することで課税を繰り延べることはできても、10年後の償還時の計画的なタックスプランニングは必要です。