「混浴」擁護の理由、事業・エリア拡大し業績は好調
鴇田氏ら幹部が取引先のゲスト・VIPと一緒に44回も混浴をしていた期間というのは、実はTOKAIホールディングスの業績は好調だった。解任前の今年1月、静岡新聞のインタビューに鴇田氏はこう語っている。
「業績はこの10年間で売上高12%増、営業利益42%増となった。ここ3年間はいずれも過去最高を更新し、今期も同様の状況にある」(静岡新聞22年1月18日)
この成長エンジンとなったのは、鴇田氏が「人口減少対策」として推し進めた「事業・エリア拡大路線」である。
「人口減少で国内世帯数が頭打ちな中、既存事業にとどまっていては成長が見込めない。従前からの方針である事業エリア拡大や企業の合併・買収(M&A)を推進して顧客件数を増やす」(同上)
そんなTOKAIホールディングスの急拡大の歩みは、「混浴接待」の増加と妙に重なる。
例えば、同社ホームページの「サービス展開の歴史・沿革」によれば、16年に「混浴接待」がスタートし、ほどなくして17年2月に「LIBMO」という格安SIM・スマホサービスの提供を開始した。
翌18年2月には、岡山のケーブルテレビ局「テレビ津山」を連結子会社化、19年9月には公共工事から住宅リフォームまで幅広く手がける日産工業を子会社化して、土木事業に進出している。
これはほんの一部で「混浴接待中」にのべ11の企業を子会社化し、6つの新規事業やエリア進出を果たし、二つの新会社を設立。東京電力や地域の都市ガス業者とも業務提携を結んでこの時期、積極的に事業を拡大してきた。
これだけ事業エリアの拡大やM&A路線を突き進めば当然、新規の取引先やVIPも増えるので、信頼関係の構築が急務だ。さらに、まったく異なるカルチャーをもつ企業が、続々とTOKAIグループ入りするわけなので、“身内の親睦”も深めなくてはいけない。
そのようにさまざまなステークホルダーとの距離を縮めるため、「盛大な接待」の目玉イベントとして、「コンパニオンとの混浴」が重宝されていた可能性がある。
だからこそ、社内には鴇田氏の主張に一定の理解を示して、取引先への「プラスの影響」を口にする人がいるのではないか。