もう一つの理由、「ピンクコンパニオン」ではないから

 そこに加えて、同社の中で「コンパニオン混浴接待擁護派」が一定数いる、もうひとつの理由が、「ピンクコンパニオンじゃない」というものだ。

 ご存じのない方のために説明をすると、酒席に手配される「女性コンパニオン」というのは大きく分けて2種類ある。まず、企業や役所、地方議員などの宴会・会食にやってきて、隣に座って主にお酌やおしゃべりをして、その場を楽しく盛り上げる女性たちで、一般的に「宴会コンパニオン」「ノーマルコンパニオン」などと呼ばれる。

 一方、「ピンクコンパニオン」と呼ばれる女性たちもいる。こちらはシースルーの衣装などセクシーな出立ちで宴会に参加することが多く、いわゆるボディタッチやそれ以上のお色気的なサービスも「場合によってアリ」とされ、地域によっては「スーパーコンパニオン」や「タッチコンパニオン」などと呼ばれる。より詳しく知りたい人はご自分で検索していただきたい。

 さて、こういう話を聞くと、鴇田氏や取引先のゲスト・VIPと混浴を44回繰り返していたのは、「ピンクコンパニオン」と呼ばれる女性たちだな?と思うかもしれないが、実はそうではない。調査報告書の中で、鴇田氏の代理人弁護士がこのような見解を述べている。

<混浴は管理会社の担当者が通常、自ら状況を点検のうえ現場で段取りをつけていた。いわゆるピンクコンパニオンのような風営法違反にあたるような態様でないことが社内で検討されたうえ中止されることなく継続されていた(管理部その他社内でも風営法違反の問題はないものと判断されていた)。>

 つまり、混浴していた女性コンパニオンたちは、TOKAIホールディングスがコンプライアンスに照らし合わせて、「セーフ」と判断された「ノーマルコンパニオン」なのだ。だから当然、ボディタッチもなければ、それ以上の“お色気サービス”もなかった。

 実際、調査報告書には、鴇田氏らと混浴した女性などの証言が掲載されている(以下、C1とは鴇田氏のことを指す)。

<混浴時も身体的接触を伴うことはなく、C1氏らは紳士的な振舞いであった旨を述べている。VILLA 蓼科の管理業者のうち VILLA 蓼科にて給仕等の業務を行っていた従業員も同様の意見を述べており、当該管理業者の委託を受けVILLA蓼科において給仕等を行っていた女性は、むしろ女性出張コンパニオンは露天風呂に入れることを喜んでいるように見えた等と述べていた>

 これが「コンパニオン混浴接待擁護派」の根拠だ。鴇田氏や取引先のゲスト・VIPと混浴していたのは、性的サービスを提供するような女性ではなく、酒席に呼ばれてただ隣でお酌をする「一般的なコンパニオン」であり、何も後ろめたいことなどないではないか、という考えなのだ。

 事実、調査報告書には、この「混浴接待」がTOKAIグループ内で有名になったことを指摘された鴇田氏が、うわさに対しては次のような説明をすべきだと述べたとある。

「外部にリークされた場合には、外国から来たVIPの接遇としてコンパニオンを呼び、コンパニオン達が外国から来てくれて折角なので背中を流しましょうかと、自発的に入った。彼女たちが入りたくて入った」

「そんなことあるわけないだろ」と思うだろうが、その場にいた当事者たちからすれば、「わざわざ日本に来てくれた外国人VIPの背中を流すくらいは通常の“おもてなし”だろ」という感覚なのだ。