目的設定の甘さや
修正の放置が命とりに
●初期条件設定
目的設定や目標設定の信じがたい緩さ。まったく絞り込めていないことが多い。戦略策定時の甘さ。競合がやっているからとか、話題になっているから、といった驚くほど適当な理由で決めてしまっていたことを発見するだろう。上位者からのいいかげんな(“良い”加減ではない)願望に引きずられ、そもそも実現不可能な目標が設定されることがいかに多いか。
また、経営資産が十分に確保されることは基本的にないといってよいが、クリティカルな要素は何であったかがはっきりする。往々にして最低限の勝負さえできない状況でプロジェクトが始まっていたりする。
●初動
初期メンバーが協力しあえる良きチームになるかは、極めて重要である。各人のスキルだけではなく、そのプロジェクトの性質にあった人かどうか(たとえば、きわめて不透明な状況にあっても普通に行動できるストレス耐性があるかどうか)、人の相性に基づいた良い組み合わせになっているかどうかなどの配慮が欠けていることが多分にある。
雲をつかむような不透明な状況下においても、当面、何を達成すべきかを明確化したKPIの設定が必要だが、そもそも市場動向などに対する仮説が緩いので、そのKPIを達成したからといって、何が達成できていて、何ができていないのかも分からない。とにかく頑張ってみた、ということになりがちである。
●修正
最初に意思決定会議において了承が取れたときの基準にこだわりすぎて、あきらかに不適切で変更すべき目標を修正できないことも多い。当初のもくろみと違ったら違ったで(普通は違うものである)、早めに報告して、修正計画を出し再度承認してもらわなければならない。しかし、多くの場合はそれができずに、無理な目標を追いかけて破綻する。これは、経営陣が新しいプロジェクトの不透明性に無理解なことから生まれる。その意味では、プロジェクトを正式にスタートする前に、フィージビリティー段階の予備プロジェクトとしてスタートし、その結果を見て正式なプロジェクトにすべきであった、といったような話になることが多い。
●プロジェクト全体を通して
プロジェクトの成功のためには、メンバーの体力と精神力の状況を的確に把握し、緩急をつけた仕事の遂行をしてもらわなければならない。本当のところ、どこが胸突き八丁で頑張ってもらうときなのか、どこは休んでもらってもよかったのか、などを学んでおく必要がある。このあたりの緩急のつけ方は、ベテランと初級のプロジェクトリーダーではスキルが大きく違う。POSTMORTEMをしっかりとやると、タスクとメンバーの状況の把握のしかたや、適切にタクトを振る技術を習得することができる。