失敗の非難はせず
データの収集が主眼
POSTMORTEMの正しい運営とはどういったものか。失敗プロジェクトについて振り返ると、そうは言っても、自己弁護のコメントが多くなる。それを聞いて非難したくなる気持ちも起きるが、それは横に置いておく。うまくいかなかったことが何に由来するのかの材料を集めるだけ集めて、まずは知ることが大事である。
また、話のなかで、これが失敗の原因だったんですね、と何らかのコンセンサスができることもあるが、それが本当に原因だった可能性はそれほど高くない。“そうかもしれない”くらいの評価をしておき、皆から出たコメントを生のまま臨場感をもって保持しておくことが大事である。
POSTMORTEMでは人の非難はしないことになっていることもあり、あまりギリギリと(本当の意味での)深い分析はなされないので、そこで意見の一致を見たからといってそれが正しいものであると思わない方がよい。
むしろ、次回の業務において、そのときと同じような感覚がよみがえれば、きっと何かしら同様のことが起こっている可能性があると考えられるので、そのときの記憶を思い出しながら、同様のことが起こらないように、しっかりシミュレーションをして修正案を作ることが一番成果を生む。体系化はそれらの経験を経た後に自分自身で行うのがよい。
まずは自分の感覚の言語化をし、他者の見解とともに、プロジェクト運営に関する知見と感覚のデータベースを作ることから始めたい。
(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)