しかし、すでに出場チーム数を拡大させている現状においては、さまざまな問題が頭をもたげてくる。その最大のものが、決勝トーナメントへ進出するチーム数と決定方法となる。

 トーナメントを公平に組むためには、進出チームを「8」の倍数とする形が望ましい。しかし、12グループの上位2位まで、計24チームが進出すればどうしてもゆがみが生じてしまう。

 カタール大会と同じ16チームで決勝トーナメントを争うには各グループの1位に加えて、2位のうち成績上位の4チームが進む形になるだろう。しかし、全体の3分の2となる32チームが、グループステージで姿を消す大会方式への是非論がおそらく浮上してくる。

 一方で32チームとするには各グループの上位2位に、3位のうち成績上位の8チームを加える形になるだろう。これだとグループステージのハードルが低いのではないかという是非に加えて、最も多いチームで最大8試合を戦う過密スケジュールへの批判が必ず湧き上がってくる。

 すべてはカネに目がくらんだ拝金主義により、出場チーム数を一気に増やしたツケと言っていい。しかし、次回大会と30年大会の次から、3年に一度のW杯開催をインファンティーノ会長が望む可能性が出てきたと、イギリス紙の『デイリー・メール』が大会終了後に報じている。

 インファンティーノ会長は以前にも隔年開催構想を表明。アジアとアフリカの支持こそ得たものの、ヨーロッパや南米、そして実際にプレーする選手たちから猛反発を浴びた。

 それでも拝金主義を隠さないFIFAだが、ちょっとした計算違いも生じつつある。

 期待の中国が笛吹けど踊らず状態にある。カタール大会で決勝トーナメントへ進んだ韓国、オーストラリア、そして日本の戦いぶりを介して、刺激を受けるどころか自信を失っていると中国メディアが報じた。過去の出場はわずか一度。開催国の日本と韓国がアジア予選免除となった02年大会だけの中国にとって、最大9枠になってもW杯出場へのハードルは高いのかもしれない。

 スポンサー収入は重視されるべきだが、FIFAの拝金主義やご都合主義によって肝心のピッチ上のパフォーマンスがスポイルされれば、それこそサッカー界の歴史に汚点を残す本末転倒となる。