誰でもファンドマネジャー
になれるか

 スイス在住の資産家でファンドマネジャーの霜見誠氏夫妻が殺害された事件をきっかけとして、「ファンドマネジャー」という職業に関心が集まっている。特に、一部で霜見氏が「年収5億円」と報じられたことが、大きな要因のようだ。いったいどのようにして、そのような高収入が可能なのかとの興味を惹いたようだ。

 ファンドマネージャーとは、ひとまとまりのお金を指す「ファンド」(日本語を当てると「基金」)を「運用」(マネージ)する人を指す言葉だ。たとえば「アナウンサー」のように、一種の専門職だと言えるが、立場や仕事ぶりは多様だ。アナウンサーと同様、資格なしに誰でもなることができる職業だ。

 会社に認められるか顧客が付けば、人は簡単にファンドマネジャーになることができる。運用会社をつくる際に登録が必要だったり、業務の種類によっては免許が必要だったりするが、ハードルは高くない。

 日本には、ファンドマネジャーと呼べる人が、1千数百人くらいいると思われるが、その多くは、金融機関に勤務するサラリーマンだ。信託銀行、投資信託運用会社、投資顧問会社、保険会社などが主な勤務先であり、サラリーマン・ファンドマネジャーの場合、運用成績によってボーナスが上下する場合があるとしても、年収の水準は、所属する金融機関の普通のレベルであることが大半だ。

 主に外資系の運用会社などで、それなりに高給で処遇されるケースもあるが、概して言えば、外資系証券会社のトレーダーやセールスマンよりも収入面では地味だ。

 一方、本人やその仲間が運用会社を立ち上げてビジネスを行う場合、高収入が可能になる場合はある。それは主に、成功報酬型の契約による。

 ヘッジファンドと呼ばれる運用形態をはじめとして、独立系の運用会社が少数の顧客を相手に運用を受託する場合に、運用資産額の1~2%くらいの固定的な運用手数料に加えて、「儲けの2割」というくらいの成功報酬契約を結ぶ場合が多々ある。