経済的に恵まれない母子家庭に育ち、高校・大学は奨学金を借りて卒業。そのため、1000万円に迫る“奨学金という名の借金”を背負うことになった。そこで、郷里に母を残して上京、東京国税局の国税専門官となった。配属を希望したのは、相続税調査部門。「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と考え「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったからだった。国税職員のなかでも富裕層が相手となる相続税を担当するのは、たった1割ほど。情報が表に出てくることはほとんどない。10年ほど携わった相続税調査で、日本トップクラスの“富裕層のリアル”に触れた『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の著者が、富裕層に学んだ一生お金に困らない29の習慣を初公開する!
日本の億万長者は
トップ3.5%
【前回】からの続き こうした富裕層の実像について、本書では余すところなくお伝えしますが、その前に「富裕層」という言葉について、ある程度の定義をしておきたいと思います。
クレディ・スイスが発表した「グローバル・ウェルス・レポート2021」によると、100万米ドルから5000万米ドルの資産を保有する層を富裕層と定義しています。2020年の日本において100万米ドル超の資産をもつ成人の数は366万2000人で、全成人に占める割合は3.5%ですから、私が相続税調査をしていた層と重なっていると思われます。
これらの点を踏まえて、本書では「1億円超の資産をもつ人」を富裕層とします。日本では昔からお金持ちのことを「億万長者」といいますから、少なくとも億単位の資産をもつ人を想定して、話を進めていきます。
億万長者の共通点
もう1つ、「相続税がかかるのは、亡くなった時点で多額の財産をもっていた人」という点も重要です。一時的に高収入を得ることができても、亡くなる時点まで億超えの資産を保持できるとは限りません。
生活費や教育費、税金など、さまざまな支出を乗り越え、なおかつ億単位の資産をもって亡くなった方たちは、非常に稀有な存在といえるでしょう。豊かな財産をもちながら生涯を終えた富裕層には、いくつかの共通点があります。
なるべくしてなった
富裕層の行動様式
彼ら彼女らの行動様式を知ると、富裕層になるべくしてなったことがわかるはずです。こうした富裕層の共通点をテーマに、本書では、「家計」「資産運用」「生活」「家族」の4つの切り口でお伝えします。
さらに、これらの共通点と合わせて、相続税に関するポイントもとり上げていますので、本書は相続税への備えにも活用できます。富裕層の共通点は興味深く、ここから学べることは少なくありません。ぜひ、気軽に楽しみながら読み進めてください。【次回に続く】
※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。