感染リスクそのものを抑制するワクチン開発を
Liew氏らの研究の解析対象は、2020年2月~2021年3月にCOVID-19で入院した446人。入院時と6カ月後、1年後、および、ワクチン接種を受けた307人については接種前後にも検体を採取して抗体価の変化を検討した。
その結果、血液中のIgA抗体やIgG抗体はCOVID-19入院から2週間以内に有意に上昇し、1年後にも有意に高い値が維持されていた。それに対して鼻粘膜の抗体のうち、IgG抗体は血液中の抗体と同じように変化していたが、IgA抗体は入院後4週以内に有意に上昇したものの、9カ月後には入院時点と有意差のないレベルに低下していた。また、ワクチン接種を受けた人では、血液中と鼻粘膜の抗体がともに上昇していたが、鼻粘膜の抗体の上昇幅は少なく、その持続期間も一時的だった。
論文共著者の1人であるICL国立心肺研究所のPeter Openshaw氏は、「われわれが現在入手可能なワクチンは、COVID-19罹患時の重症化と死亡リスクを抑制するように作られており、その目的においては大きな効果を示している。しかし、感染リスクそのものを抑制するワクチンの開発も不可欠だ」と述べている。同氏らは、感染リスクをも抑制し得るワクチンとは、「鼻粘膜の抗体価をより効果的に高めることのできるワクチンであるべきで、鼻腔へのスプレーまたは吸入という投与経路を検討する必要がある」としている。
Openshaw氏は、「現在用いられているワクチンによって、重症COVID-19患者が減少傾向にあることは素晴らしいことだ。しかし、感染リスク自体を抑制できれば、ウイルスが伝播する機会が減り、さらに良い状況へと前進する」と付け加えている。(HealthDay News 2022年12月21日)
https://consumer.healthday.com/covid-antibodies-2658982990.html
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