「ユーザーがサービスを通じて得られる体験(UX・ユーザーエクスペリエンス)や、ユーザーがシステムと情報をやりとりする接点(UI・ユーザーインターフェイス)に興味があります」

AI英会話アプリを開発

 大塚さんはこれまでにいくつかのアプリやサービスを開発している。2021年5月には仲間とともに開発したAI英会話アプリ「AIbou」をApp Storeにリリースした。テキストか音声で英文を入力すると、AIが英文を返してくれるチャット形式のiOSアプリだ。雑談、チケット予約、就職面接、病院の予約など、様々なシチュエーションがあらかじめ用意されており、AIとメッセージをやりとりすれば英会話の練習になる。アプリ名に込めたのは、英会話力の向上を助けてくれる相棒としてのAIという意味だ。2021年9月からイギリス留学中の大塚さん自身の体験も活かされているという。

 大塚さんは小学校5年生のとき、プログラミング教室のTech Kids School(本部・渋谷)に入り、プログラミング言語やアプリ開発の基礎を学んだ。きっかけは、小学校で配布されたチラシ。新しい教室のイベントへの参加を募る内容だった。

 当時はプログラミングの何たるかもまるで知らなかった。それでも親に「やりたい」と言ったのは、小学校3年生の頃から撮りためた画像データを整理したり、編集したりするために、パソコンの使い方を覚えたかったからだという。

「小3のとき、6年生まで誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントもいらないという約束で、念願の一眼レフのデジタルカメラを買ってもらい、写真撮影に熱中していました。カメラ用のSDカードが画像データでいっぱいになるたびに家のパソコンに保存してもらっていましたが、その作業も大変でしたし、画像編集にも興味がありました」

プログラミングの虜になる

 軽い気持ちでプログラミング教室に入ったものの、大塚さんはアッという間にプログラミングの虜になる。イベント参加の後も、1カ月に2回の授業では飽き足らず、月4回、週2回とどんどん回数を増やし、他の子が5年で終えるカリキュラムをわずか1年で終えてしまった。

 最初に作ったのは、写真をランダムに表示させる占いアプリだったという。乱数を発生させる関数を使用したアプリだ。子ども向けのプログラミング言語には「スクラッチ」のように、「右に○回進む」「△回ジャンプする」などのブロックを組み合わせてゲームやアニメーションを作るビジュアル要素の強いものもある。大塚さんも一時は、そうしたものを試したが、すぐにやめた。プログラミング言語を使って自らソースコードを書く「コーディング」の方がより自由度が高いように思えたからだという。なぜプログラミングにのめり込んだのか?